研究概要 |
非水系リチウム二次電池の正極活物質には種々の金属酸化物,金属硫化物導電性有機高分子化合物が考えられている。これらの中で二酸化チタン,二硫化モリブデン,ポリアセチレン,ポリアニリンをとりあげ研究を行なった。スパッタリング法により作成した薄膜状二酸化チタンを用い、単純化した有限一次元拡散によりその膜中でのリチウムの拡散挙動を調べた。二酸化チタン中でのリチウムの濃度変化により拡散定数が変化し、周相内ではリチウム同上の相互作用が強いことがわかった。30%程度リチウムが侵入すると拡散挙動は有限一次元拡散により説明できた。結晶型,結晶化度の異なる二酸化チタンの拡散定数から、結晶性の低い二酸化チタンほどリチウムが拡散しやすいことがわかった。アナターゼ型二酸化チタン中でのリチウムの拡散の活性化エネルギーを求めたところ KJ【mol^(-1)】が得られ、妥当な結果を示した。実際に電池を組み定電流で放電したところ利用率100%近くまで放電できた。二硫化モリブデンを用いた場合、二酸化チタンと異なりリチウムが溶媒を伴なって、その中に拡散することがわかった。それため、電池性能を向上させるにはリチウムと溶媒和しにくい電解質用の溶媒の選択が必要である。プロピレンカーボネートを用いると70〜80%の利用率でリチウムを可逆的に出入りさせることができた。導電性高分子であるポリアセチレン,ポリアニリンを用いた場合高分子フィブリル内のCl【O(^ー_4)】,B【F(^ー_4)】の拡散定数がさいことがわかった。ポリアニリンを電解重合により薄膜化したところ優れた充放電特性が得られ電池性能向上には薄膜化により拡散抵抗を減少させねばならない。無機系活物質では活物質の非晶質化や溶媒の選択によって、有機系高分子活物質では活物質をシート状の薄膜にすることによって、より優れたリチウム非水溶液系二次電池をつくることができる。
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