研究課題/領域番号 |
60470074
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
無機工業化学・無機材料工学
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
若松 盈 京工繊大, 工芸学部, 教授 (00027781)
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研究分担者 |
石田 信伍 中部大学, 工学部, 助教授 (00102765)
竹内 信行 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助手 (50154977)
清水 聡 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 講師 (20027783)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
1986年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1985年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
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キーワード | 釉の着色 / 炉内雰囲気 / 銅釉 / 銅釉のESR / 銅赤ガラス / 銅ガラスのストライキング / 還元焼成 |
研究概要 |
銅を含む赤色釉は焼成雰囲気によって、赤,緑または灰色等に発色が大きく変化することが知られている。本研究では、試料の組成と作製方法並びに加熱冷却曲線を一定に保持し、炉内雰囲気の組成を変化させて、釉の色調が濃赤色から緑色まで大きく変化する実体を解析した。試料の釉の色調は分光比反射率曲線から分類し、釉中の銅の濃度分布および化学状態をEPMA,EDX,ESRおよびESCAによって明確にした。この銅釉の色調は、酸化雰囲気では緑、還元雰囲気では灰色となり、赤色となる条件は加熱時は還元、冷却時は酸化雰囲気に保持することであった。赤色釉中には【Cu^(2+)】がESRで認められたが、化学平衡を考えると【Cu^+】の存在も予想される。赤色銅釉の発色は金属銅のコロイドが主体であるとする従来の説とは異なる結果を得た。赤色銅釉の赤色発色団は【Cu_2】Oの可能性が大きい。また還元雰囲気下では銅が著しく揮発することも明らかになった。試料は組成として炭酸銅の2倍の重量の酸化錫を含み、この赤色試料は1100℃で2時間空気中で酸化しても変色しないが、錫を含まない赤色銅釉は1100℃で10分間空気中で加熱すると青緑色になった。このことから、錫を含む赤色釉は、【Cu_2】O粒子の表面がガラスまたはSn【O_2】の層で被覆されていると考えられる。すなわち【Cu^(2+)】および【Sn^(4+)】を含む釉は昇温中に還元されて銅-錫合金が形成され、この時期にガラス化が進行する。降温中は酸化雰囲気により銅は【Cu_2】Oに酸化され、同時に合金中の錫もSnOとなって蒸発したりガラス中に溶解する。さらに冷却されると【Cu_2】Oはガラスで被覆され、錫はイオンとなってガラス中に存在する。 無色の【Cu^(1+)】を含むガラスは、加熱によるストライキングによって【Cu_2】Oを形成し赤色銅ガラスになることが明らかになった。
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