配分額 *注記 |
5,100千円 (直接経費: 5,100千円)
1987年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1986年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1985年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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研究概要 |
序.豊富な糖から希少な糖への変換を生物化学的に考察し, 人工的な化学変換へと展開させることは重要な研究課題である. 本研究では, 当研究室の糖質と遷移金属錯体との相互作用に関する蓄積を基盤にして, 金属錯体による糖質の擬生物的人工変換系の構築を目指し以下のような展開を行った. 1.N,N'-ジメチルエチレンジアミンを配位子とするNi(II)錯体と種々のアルドースとの反応を行った. D-Manの場合に特異な二核のNi(II)配糖錯体が生成した. X線結晶構造解析の結果, 五員環構造をもつD-Man残基が炭素原子上の全ての配位可能な原子を用いて架橋していることが判明した. さらに, N,N,N'-トリメチルエチレンジアミンを用いるとC2エピ化が速やかに起こり, さらにD-Man型の糖のみが立体選択的に錯形成することを見いだした. EXAFS法により, この基質特異的錯形成の要因はN-フラノシド橋架け構造に基づく配位力に依存することが明らかになった. 次いで, 糖質換を促進する反応系の探索を行った. その結果N-置換ジアミンとの組み合わせの系では従来のNi^<2+>の他にCo^<2+>,Sr^<2+>,Pr^<3+>がC2エピ化に対し有効であることが判明した. アルカリ土類元素の中でCa^<2+>が高い反応性を示すことが明らかとなった. 2.C1位の炭素が^<13>Cで同位体標識されたD-Glcを用い^<13>CNMRによるエピ化反応の検討の結果, 立体特異的な炭素骨格転位による珍しいC2エピ化が進行していることが明らかとなった. EXAFS法から, 反応活性種は単核錯体であることが判明した. 以上の知見を基に, エピ化反応の機構を提案した. 3.これまでの研究成果をふまえ, グルコース型の糖質のC2エピ化→マンノース型糖質の選択的配糖錯体形成→糖質の回収というプロセスにより天然に希少なマンノ型糖質の変換系を設計した. 実際にグルコ型のアルドース(D-Glc,D-Qui,D-Xyl)から対応するマンノース型アルドース(D-Man,D-Lha,D-Lyx)が得られた.
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