研究概要 |
本研究は従来の平面的な芳香族ヘテロ環系に対して、三次元立体的な構造を有する橋かけ型新規ヘテロ環系を合成設計しこれら新規ヘテロ環化合物の特異な物理性,化学性および生物活性等をも明らかにしていくことによって新規工業材料開発の基礎的研究を押し進めることを目的としており研究計画に基いて研究を進めた結果について要約して以下に報告する。 1.ペリ環状反応による橋かけ多環型含窒素ヘテロ環系の合成成果としてΓ-ヒドロキシモノアザトリシクロ系骨格の合成に成功した。2位置換アダマンチルヘテロ環合成にアダマンチリデンビニリデンカルベンの応用が可能であることを示した。また多環系へのアジド基の導入と含窒素ヘテロ環合成への活用も種々検討し有用な成果を得た。 2.ヘテロ橋かけ型シクロヌクレオシド類の合成と応用の研究として2,3'-イミノ橋かけ型ウラシルの合成とアルカリ加水分解による2-リキソピラノシル型ヌクレオシドへの変換に成功した。長鎖ヘテロ架橋シクロヌクレオシド類の一つとしてカルバモイル架橋プリンヌクレオシド合成に成功しそのX線結晶構造解析により興味ある構造的特徴を見出した。 3.ヘテロジエン,ジエノフイルの開発と応用に関して、アダマンタンチオンの環状付加反応を検討し新規チアヘテロ環の合成に成功した。またケイ素原子の特性を活用したヘテロ環合法も開発した。 4.分子内反応ルートの開発としてN橋かけ法に有用な分子内Aza-Wittig反応を検討し閉環反応性を明らかにした。またエナミドの閉環反応性も検討した。 5.上記により合成できた橋かけ型新規ヘテロ環類の一部については抗ビールス,抗菌,除草,変異原性,抗変異原性等の一次スクリーニングをみたところ、スピロチアヘテロ環のナフト誘導体に興味ある抗変異原活性が見出された。
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