研究概要 |
「有機典型金属化合物から発生する活性種の化学とその応用」, 「有機前周期遷移金属化合物から発生する活性種の化学とその応用」および「有機後周期遷移金属化合物から発生する活性種の化学とその応用」の3課題を中心に研究を進め, つぎのような成果を得た. 1.(1)アリルまたはベンジルケイ素化合物とジシアノ芳香族化合物との光反応, アリルケイ素化合物と1, 1-ジシアノエテン類との光反応, Cu(II)塩による有機ケイ素, ゲルマニウム, スズ化合物など14族(4B族)有機金属化合物の光酸化開裂反応, アリルスズ化合物と有機ヨウ素化合物とを用いる電子不足型アルケンへの二成分付加反応などを検討し, 多数の新しい有機反応を開発した. (2)これらの反応の機構, 光電子移動によって生成する14族有機金属化合物のラジカルカチオン種, 電子受容性化合物のラジカルアニオン種および関連するその他の活性種の化学的特性, 反応の効率と選択性を支配する因子などについて多くの新知見を得た. 2.(1)チタン化合物の還元によって生成する低原子価チタン錯体を触媒とするアルカジエンの選択的ヒドロホウ素化反応, 低原子価チタン錯体を用いるアリルアルコール類および各種含酸素不飽和化合物のヒドロホウ素化反応を検討し, 新しい有機反応を開発した. (2)これらの反応における低原子価チタン錯体の化学的特性, 反応の選択性などについて多くの新知見を得た. 3.(1)多核鉄カルボニル錯体を用いるN-アシルオキシイミノ化合物の還元的脱酸素反応, F_6(CO)_5を用いるカルボアニオンへの3分子CO挿入反応, (η^3-アリル)Fe(CO)_2NO錯体の合成と反応性などを検討し, 多数の新しい有機反応を開発した. (2)これらの反応における鉄錯体の構造と化学的機能との関連性について多くの新知見を得た. 4.以上の諸反応の適用範囲, 合成化学的応用などを検討し, 応用面についても多くの知見を得た.
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