研究概要 |
1.絹フィブロインリン酸溶液を紡糸原液とする再生絹糸, ゲル紡糸延伸. 紡糸液にDMFを添加し, 硫酸ナトリウム水溶液を凝固浴として紡糸延伸し, メタノール処理後再延伸して延伸比10で比重1・35引張り強度2・2g/d伸度8-10%の再生絹糸を得た. メタノール処理でβ構造に転移する. PVA含量20%の複合糸もまた良好な結果を得た. またカルボキシル基を側鎖にもつポリアミドのBa塩はゲル紡糸延伸が可能である. 2.絹成分類似オリゴペプチドの合成. 絹フィブロイン類似ポリペプチドを合成する目的で, まずそのオリゴペプチドを合成した. アミノ基は0-ニトロフエニルスルフエニル基で保護し, 対称型酸無水物法,活性エステル法を併用し, Ala-Gly単量体, 二量体, 三量体, Ser-Gly-Ala-Gly-Ala-Gly,Ala-Ala-Gly,Ala-Gly-Glyなどを合成した. 3.絹類似ポリペプチドの合成. Ala-Gly活性エステルの溶液重合では重合度が高くならない. LiClやCaCl_2を共存させると, 環化を防ぎβ構造のポリペプチドになる. 溶液重合マトリックス重合を併用すると重合度が高くなり, とくにAla-Ala-Gly,Ala-Gly-Gly,では還元粘度0.4のポリペプチドを得た. しかし合成ポリペプチド繊維をうるにはいたらなかった. 4.高速液体クロマトグラフィによるアミノ酸オリゴマーの測定. 逆相クロマトグラフィでグリシン,アラニン系シペプチドの分離ができた. 絹フィブロイン部分加水分解物のジペプチド分析で, グリシン,アラニンが交互に配列することを確認した. リン酸による加水分解では最初比較的大きなペプチドのピークが一か所に集中して現われ, この解明が今後の検討課題の一つである.
|