研究課題/領域番号 |
60470123
|
研究種目 |
一般研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
土壤・肥料
|
研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
加藤 秀正 宇都宮大学, 農学部, 助教授 (20008014)
|
研究期間 (年度) |
1985 – 1987
|
研究課題ステータス |
完了 (1987年度)
|
配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1987年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1986年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
|
キーワード | 土壌溶液リン酸濃度 / 土壌溶液論的上限 / 栽培上の適正上限 / 溶解平衡 / リン酸の強度因子・容量因子 / 土壌溶液 / 最高収量 / 生育障害 / 有効態リン酸(トルオーグ法) |
研究概要 |
作物への養分供給の強度因子である土壌溶液のリン酸濃度は(1)土壌固相のリン酸含量(可給態リン酸で表示されるリン酸供給の容量因子)(2)土壌溶液のpH、(3)水分含量、(4)土壌溶液のAl^<3+>・Fe^<3+>およびCa^<2+>により規定された。土壌溶液のリン酸濃度の理論的上限はAl(OH)_2H_2PO_<4_<(amorp)-Al(OH)_<3>(amorp)-CaHPC_<4>・2H_2O-H_2O系における溶解度図により示すことができた。この溶液度図によれば、土壌ごとにリン酸の理論的上限は異なることになるが、兵庫、茨城、群馬農試土壌では10^<-3.35>〜10^<-3.9>MでAl(OH)_2>H2>PO_4(amorp)と溶解平衡に達し、上限となった。このリン酸濃度は作物試験結果と合せて考察すると、作物の収量低下ないし障害発現領域に対応し、可給態リン酸レベルにして数100〜1000mgに相当した。そこで筆者は三つの基準を示して理論的上限とは別に栽培上の適正上限を設定した。土壌溶液のリン酸濃度10^<-5>Mに相当する可給態リン酸含量は土壌間の差異が比較的小さく、かつほとんどの作物試験で最高収量点付近の収量反応のゆりやかな領域と一致した。したがって、強度因子としての土溶液のリン酸濃度10^<-5>Mと、これを補償する容量因子(可給態リン酸100mg)を栽培上の適正上限とした。 なお、数種の作物の溶液栽培もしくは流動水耕試験の知見によれば、作物がリン酸不足となるリン酸濃度は約10^<-6>〜10^<-3.4>M、土壌診断の目標値とされてきた可給態リン酸30〜40mgは土壌溶液リン酸濃度にして約10^<-6>M、一方前述の群馬・兵庫・茨城の各県農試が行った栽培試験の収量低下もしくは生育障害発現濃度は10^<-3.35>〜10^<-3.4>であった。筆者が定めた栽培上の適正上限リン酸濃度10^<-5>Mは、水耕における欠乏領域の数倍ないし10倍のオ-ダ-であり、障害発生領域の10〜100の1のオ-ダ-に相当する。本研究結果は普及技術としてきわめて利用価値の高いものと判断される。
|