研究概要 |
飼料植物には多くの種が存在するが, 乳牛に主として用いられるのはイネ科草とマメ科草の場合が多い. しかし一般にはこれらの飼料植物を一括飼料ということで家畜に給与するのが慣行である. ところで今日のように, 牛乳生産や肉生産に対して, 低コスト, 高品質が期待されるようになると, このような一括された飼料という概念で牧草等を給与していたのでは, なかなかその本来の目的を達することができない. 以上のような課題を解決するため, われわれは, イネ科草の代表としてオーチャードグラス, またマメ科草の代表としてアルファルファを供試して, 行った結果は以下のように要約できる. なお, 土壌は, 野幌洪積性重粘土壌である. 比較栄養生理の対象とした要素は植物に必須なミネラルと動物にのみ必須と考えられているミネラルである. 1)アルファルファの洪積性重粘土の乾物収量は堆厩肥〓化学肥料完全区で43.3t/ha/5年であり, -N区では35.2t/ha/5年であったが, オーチャードグラスではそれぞれ47.3t, および17.9tであった. 2)これらの植物のミネラル含有率は大量要素についてはアルファルファではカリ(K_2O)が3.48±0.42%とオーチャードグラスの3.86±0.20%より少ないがCaOは1.71±0.10, 対0.44±0.03と多く, またP2OやMgo, Sは変化がなかった. 3)さらにこの植物の微量要素含有率については, アルファルファでマンガンが36.50±18.41ppmに対してオーチャードグラスは67.84±42.16と少なく, 亜鉛は反対に26.48±1.33ppmに対して22.20±2.77とオーチャードグラスにおいて少なかった. 他の銅については差異が認められなかった. 4)哺乳動物に必須であるコバルトやセレニウムについても分析したが, アルファルファに多かった.
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