配分額 *注記 |
4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
1987年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1986年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1985年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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研究概要 |
本検出はコロナ放電処理によって, 木材の表面活性化を行ない, 木材接着の改善を図るものである. まず, 放電処理による木材表面のぬれ特性と接着性の向上を検討し, また, 放電処理による木材構成成分の官能基の変化および木材の主要成分であるセルロースに対する作用を明らかにした. さらに, 放電処理によって生成したラジカルや官能基の橋かけ反応を利用した接着性の発現について検討した. 1)放電処理によって, 木材表面の接着剤に対するぬれ特性は著しく向上する. このぬれの向上に基ずいて木材表面の接着性能も大きく改善される. 2)放電処理によって起こる木材表面の軽度な化学変化は染色法による官能基の検出によって始めて明らかにされた. 表面の酸化の程度を調べるにはアルデヒド基の検出にはシッフ試薬を, カルボキシル基に対してはメチレンブルー染色が有効である. 3)コロナ処理による表面の変化を調べた結果, 処理によってアルデヒド基が増加するが, カルボキシル基には変化がない. この傾向は単離したセルロースについても認められるが, 樹脂分における変化の方が大きい. 4)セルロースに生成した官能基(アルデヒド基)は更に橋かけ反応を起こす. モデルとして水溶性のヒドロキシエチルセルロースを用いると, 水不溶性成分の生成が認められる. また, セルロースは放電処理によって, 分子量が若干低下するが, 同時に生成した官能基の反応に基ずく枝分れ構造を生成する. 5)木材に放電処理を施して表面を活性化させたのち, 空げき充てん剤として, リグニンやタンニンを添加して接着させると強い接着力が発現する. これは, 放電処理によって木材表面に生成したアルデヒド基やパーオキシド基が添加した物質との間に橋かけ反応を起こして, 接着力の発現に寄与したものと結論された.
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