研究概要 |
アユ,ヒラメ,マダイなど増養殖魚のふ化後の餌料は、ワムシ,アルテミアなどの生物餌料に依存しているが、生物餌料の培養飼育には大規模な設備と労力を要するだけでなく、栄養的欠陥や病原体混入のため、仔稚魚の奇形や大量へい死を起す場合が多い。本研究は生物飼料に代わる超微粒子人工飼料を開発し、種苗生産レベルに応用できることを明らかにした。 1.微粒子人工飼料における良質のタンパク質源を探すため、各種飼料素材のアミノ酸を分析し、仔稚魚の体構成アミノ酸パターンに近似したタンパク質源の配合を計算し、この配合に基づく微粒子飼料を製造した結果、アユ,ヒラメ,マダイ,ブリ,ホンモロコ,ニゴロブナの種苗生産は、成長、生残ともに良好であった。 2.微粒子飼料によるヒラメ種苗生産では、ヒラメの白色化個体の出現が防止できた。 3.微粒子飼料の栄養素中、溶出率の高いアスコルビン酸について、アユ,マダイ仔魚を用いて検討した結果、アスコルビン酸Na塩よりアスコルビン酸-2-リン酸エステルMg塩が溶出率低く、高い成長・生残率を示した。 4.ヒラメ,アユ,コイ,ヘラブナ,チィラピア稚魚の必須アミノ酸を、高速液体クロマトグラフィーおよびラジオアナライザーにより決定した。 5.微粒子飼料よりβ-カロチン,α-トコフェロール,カルシフェロール,メナジオンなどの脂溶性ビタミンが欠乏すると、アユ仔稚魚では、いずれも食欲不振,成長低下,脊椎・腎白化,脊椎弯曲,へい死などが出現した。 6.仔稚魚は微粒子飼料中にリン脂質を必須成分として要求するが、仔稚魚体内リン脂質,フォスファチジルコリンの分子種を検討した結果、20:5w3、22:6w3などw3系高度不飽和脂肪酸を含むことが証明された。
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