配分額 *注記 |
5,100千円 (直接経費: 5,100千円)
1987年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1986年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1985年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
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研究概要 |
4-Demethoxyaauomycin(1), daunomycin(2), および11-deoxydauomycin(3)は, 強力な抗癌剤として知られている. 我々は既に, ホモフタル酸無水物およびその関連化合物が強塩基により種々のキノン類と定量的に環化付加反応を起こす事を見出し, この反応が1〜3のアグリコン類の合成に用いうる事を明らかにしてきた. 本研究では, (A)アグリコン類の大量合成に適した合成法の確立, (B)光学活性なアグリコン類の合成法の確立, (C)アグリコンとアミノ糖ならびに天然の中性糖とのグリコシデーションによる天然および天然に存在しないアントラサイクリン類の合成, を目的として研究を行ないほぼ目的を達成する事ができた. 即ち(A)については, 4-アセトキシホモフタル酸無水物とクロロキノンアセタールとの環化付加反応を用いる方法, 6-ヒドロキシ(又は, 6, 11-ジヒドロキシ)-4-メトキシ(又はデメトキシ)-7, 8ジヒドロナフタセンー5, 9(10H), 12-トリオンの9位ケトンヘのエチニル基導入反応を用いる方法, および6-エチニルー6-ヒドロキシー5, 6, 7, 8-テトラヒドロホモフタル酸無水物とナフトキノン型化合物との環化付加反応を用いる方法を開発し, 簡便で収率の良い1〜3のアグリコンの合成法を確立した. また(B)については, C2対称性光学活性ジオール由来の光学活性α-ケトアセタールへの不斉アルキル化反応をA環構築に応用し, 高い光学純度で1, 2のアグリコンが合成できる事を明らかにした. 更に(B)に関しては, ラセミのアントラサイクリノン類を用いて, 天然ダウノサミン及び中性糖とのα-グリコシデーションを検討し, ダウノサミンについては適当に修飾された1-0-アシル体を用いトリメチルシリルトリフラートを用いる方法で, また中性糖につしては1-クロロ体を用い2価の水銀塩を触媒として用いる方法で首尾よく天然および天然に存在しないアントラサイクリン類を合成する事ができた.
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