研究概要 |
1.レーザー誘起光化学反応によって硝酸水溶液中のNpの原子価調整を行う場合の基礎プロセス条件の文献調査の結果, 再処理条件下では100μmol/l以下の低濃度Np領域での原子価調整性が重要であることを確認した. 2.光化学を利用した低濃度領域でのNp原子価調整性を確認する実験に必要な硝酸水溶液中での低濃度Np原子価分析法を検討し, 抽出クロマトグラフィー法の開発に成功した. 3.抽出クロマトグラフィー法で原子価分析法を行うことにより, 硝酸水溶液中でのレーザー照射によるVI→V価, IV→V価の原子価調整反応速度の温度硝酸濃度, レーザー照射量, 酸化・還元剤共存の各条件が与える影響を実験により測定し, 当量の10倍以上過剰な酸化・還元剤が存在しても, 温度硝酸濃度に応じた平衝値まで速やかに光還元・光酸化できると判明した. 4.溶媒抽出工程を想定したレーザーを利用したNp分離プロセスで重要になると考えられている硝酸-30%TBP(70%ドデカン)系でのレーザー誘起原子価調整法の基礎実験を実施し, 249nmのレーザー照射により溶媒相から硝酸相にNpを逆抽出することがてきることを確認した. 抽出装置内でのレーザー照射様式としては, 混合部内での照射の方が静置部内での照射に比較して逆抽出速度が大きいことが判明した. 5.レーザーを利用したNp分離プロセスの可能性を検討するため, 核燃料再処理工程を想定して主としてウランからの分離に関するシミュレーション計算を実施した結果, 十分高い除染係数と回収率でNpの分離が可能との結果を得た. 6.以上の結果から, 核燃料再処理溶媒抽出工程で光化学を利用してNpの分離を行える可能性が高いことが結論付けられる. 今後は, 抽出装置の検討が重要である.
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