研究課題/領域番号 |
60470160
|
研究種目 |
一般研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
原子力学
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
岡田 勲 東京工大, 国立大学(その他), 教授 (60011582)
|
研究分担者 |
野村 雅夫 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 教務技官 (60100997)
巾崎 潤子 東京工業大学, 総合理工学研究科, 教務技官 (10133331)
高木 隆三 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助教授 (90108233)
|
研究期間 (年度) |
1985 – 1986
|
研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
|
配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
1986年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1985年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
|
キーワード | 溶融塩 / 向流電気泳動 / 同位体分離 / リチウム-6 / リチウム-7 / 硝酸リチウム / 硝酸アンモニウム |
研究概要 |
リチウム-6は天然に約7.5%存在し、92.5%存在するリチウム-7とは核的性質が全く異なり、これを濃縮することは核融合などの目的に必要である。しかしながら我が国においては実験室規模においても、リチウム-6を高度に濃縮する方法は確立していない。溶融塩の向流電気泳動法はアルカリ金属などの同位体濃縮に有用な方法であるが、陽極付近で重い同位体を濃縮することは容易であるが、陽極付近で軽い同位体を高度に濃縮することはそう容易ではなかった。我々は融点が低い硝酸リチウム(261℃)を用いて陰極側に硝酸アンモニウム(融点:170℃)を配し、その境界面が長時間の泳動にもかかわらず安定に保たれることを利用し、リチウム-6を陰極ではなくこの境界面で濃縮する方法を以前に考案した。この方法を応用する横型の電気泳動セルを新たに考案し、電気泳動を行ないリチウム-6を最高82%まで濃縮することができた。すなわち内径4mmの分離管にアルミナ粉を充填し、ほぼ水平に配置し、約300℃に保ち、硝酸アンモニウムを入れた陰極室につながる付近に両塩の境界ができるようにした。この境界は31日間の泳動でもシャープに保つことができた。泳動セルは透明シリカまたはVycorで作製したが、腐食の問題は起らなかった。リチウムイオンの移動度の同位体効果を純粋硝酸リチウム,硝酸リチウム-硝酸アンモニウム混合塩及び硝酸リチウム-硝酸カリウム混合塩の各融体について調べた。混合による同位体効果の変化は小さかったが、温度が上昇するにつれて同位体効果の値は大きくなることが分った。その理由を分子動力学法によりミクロ的に解釈することができた。今後の問題点は硝酸リチウムと硝酸アンモニウムの境界面を外部から観察できる方法を見出すことと、陰極中の多量の硝酸アンモニウム中からリチウムイオンを抽出する方法を見出すことで、これらが解釈されれば更に効率良く濃縮できよう。
|