研究概要 |
高等植物には、斑入り、絞りなどと呼ばれる形質のvariegationが存在する。その中には、遺伝学的に易変性と呼ばれる突然変異の一型があり、日本ではアサガオ,オシロイバナなどで研究が進んできた。本研究では、アサガオを用いて易変遺伝子を単離・解析することを目的とした。まず、高分子量DNAの単離方法を決めた。2つの方法で、トランスポゾン様DNAの探索を行なった。まず、カルコン合成酵素遺伝子をプローブとして、アサガオの遺伝子の多型があるかどうか。次に、トランスポゾンのDNAの構造的特徴である、ステムとループの構造を検出する方法を検討した。種々の園芸株のアサガオDNAでSouthernハイブリド形成に用いて、多くの多型を見いだした。多型を示したアサガオ株と易変性の程度には、有意な相関関係がみられず、トランスポゾンそう入の結果による単一の事象と断定できなかった。次に、トランスポゾンの構造的特徴、すなわち、ステム・ループ構造に注目して、トランスポゾン様断片の単離を試みた。DNアーゼIで分解した後、1本鎖分子内で相補部分が二本鎖になる条件を決定した。1本鎖特異的ヌクレアーゼ処理して二本鎖DNA断片を単離し、クローン化した。このようなトランスポゾン様DNAのクローン化DNAのプールを構築した。クローン化断片の大きさ,コピー数,を決定した後、5クローンにつき、塩基配列を決定した。その結果、逆位高頻度反復配列,アサガオ株間で多型を示す断片,及びキンギョソウのトランスポゾンTam1のステムの部分に60%以上の相同性を持つ断片を同定した。これらより、後者の実験法の有効性が示唆され、更に多型の検出,ヘテロ植物体内での可動性を中心に研究を追究する予定である。
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