研究課題/領域番号 |
60480015
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
植物形態・分類学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岩槻 邦男 東大, 理学部, 教授 (10025348)
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研究分担者 |
渡辺 邦秋 神戸大学, 教養部, 助教授 (80031376)
矢原 徹一 東京大学, 理学部附属植物園, 助手 (90158048)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
1986年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1985年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
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キーワード | 無配生殖 / 倍数性 / 雑種形成 / 進化 / チャセンシダ属 / オシダ属 / ヒヨドリバナ属 / ヤブマオ属 |
研究概要 |
シダ植物のオシダ属・チャセンシダ属・被子植物のヒヨドリバナ属・ヤブマオ属を材料として、無配生殖を行なう系統にみられる遺伝的変異の起原に関する比較研究を行なった。ヒヨドリバナ属についての細胞学・生化学および統計学的手法による研究から、異なる種の有性生殖型と無配生殖型の間の交雑が無配生殖型の遺伝的変異の主な供給源であることが示された。チャセンシダ属においては、有性生殖型と無配生殖型の種間交雑が新しい無配生殖型を生じる過程が、酵素多型を遺伝的マーカーとして詳しく調査された。オシダ属・ヤブマオ属においても無配生殖型の雑種性を示す形態的証拠が得られた。これらの結果から、無配生殖型の遺伝的変異は種間交雑によって生じる場合が一般的であると結論される。 無配生殖型の遺伝的変異の大きさについては、チャセンシダ属とヒヨドリバナ属で異なる結果が得られた。チャセンシダ属ホウビシダの場合、日本各地の41集団を8酵素種を用いて調査したにもかかわらず4つの遺伝子型が見出されたのみであった。一方ヒヨドリバナ属の無配生殖種E.scabridumでは著しい集団内・集団間多型が見出された。後者は有性生殖種との交雑をくりかえし動的な状態にあるのではないかと考えられる。このような多型的無配生殖種の遺伝的性質の解析が今後の課題として残された。 チャセンシダ属のホウビシダ(無配生殖種)とナンゴクホウシダ(有性生殖種)の酵素多型についての調査結果から、無配生殖種は有性生殖種に比べ高い平均ヘテロ接合体頻度を示すことが明らかになった。この結果はトカゲなどの単為生殖動物で得られている結果と一致し、動植物を通じて無性生殖が高いヘテロ接合性を維持するシステムであることを示唆している。
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