配分額 *注記 |
6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
1987年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1986年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1985年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
|
研究概要 |
細胞分裂の分子機構を解明するため, 繊毛虫テトラヒメナの温度感受性分裂停止突然変異株(cda遺伝子座)を用いて研究を行ってきた. 本研究では, これまで我々が研究を深めてきたcdaAとcdaCの変異遺伝子産物の分裂における役割を明らかにすることに主眠をおいて研究を行ったので概要を報告する. 1.cdaC突然変異株の変異遺伝子産物の解析 cdaCは分裂構造である収縮環の微小繊維を束ねる構造(LSと仮称)に欠陥がある. LSは収縮環で生じた収縮力を表層に伝える構造でアクチン結合蛋白質と推察された. しかし, テトラヒメナにはこれ迄アクチンの存在が証明されていなかった. そこで, 遺伝子の面から追跡し, テトラヒメナ・アクチン遺伝子のクローニングとシークエンシングに成功した. 推定されるアミノ酸配列からN未15残基のペプチドを人工合成し, その抗体をとり, 免疫ブロット法でアクチンを同定した. このアクチンは既知のアクチンとは異るユニークなものであったが, 蛍光抗体法からは通常なアクチンと同様な生物学的機能を持つことが判った. 更に, 我々はテトラヒメナ・アクチンの単離に始めて成功した. 精製アクチンは生化学的にも極めてユニークな性質を示した. cdaCの変異遺伝子産物を追跡するため, アクチン結合蛋白質の検出と分離を現在試みている. 2.cdaA突然変異株の変異遺伝子産物の解析 cdaAは分裂面決定因子の変異をもつ. 我々はすでに変異遺伝子産物(p85)を電気泳動と遺伝解析で同定した. 本研究では, p85の精製に成功し, その抗体も調製し, 蛍光抗体法から, p85は分裂直前期に赤道面の分裂予定部に配列するという注目すべき結果を得た. 一方, 変異株で温度処理するとp85の局在も分裂も起こらなかった. p85の分布は収縮環形成に時間も位置も密接に関連するので分裂溝形成核の可能性が示唆された.
|