配分額 *注記 |
6,300千円 (直接経費: 6,300千円)
1987年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1986年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1985年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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研究概要 |
我々は, 鳥類の生殖線には哺乳類と同じように, 濾胞刺激ホルモン(FSH)に対する特異的受容体と黄体形成ホルモン(LH)に対する特異的受容体とが独立して存在することを明らかにした. ことに鳥類のLH受容体の性質を世界ではじめて明らかにすることに成功した. すなわち, FSHとLHは作用や標的細胞(雄では)が異ばかりでなく, 受容体も異なることが確められた. ところが我々はさらに両生類の精巣の受容体を調べたところ, ウシガエルのFSHとLHは, 同一の受容体に結合できることが分った. すなわち, ウシガエルの精巣にはFSHとも, またLHとも結合できるただ一種の生殖腺刺激ホルモン受容体が存在するのである. それでは, ウシガエルの精巣の細胞はいかにしてFSHとLHを区別してその作用を現すのであろうか. これは, FSHやLHの分子の受容体との結合部位は共通であるが, ホルモン作用を現す作用部位に何等かの違いがあるのではないかと考えられる. また, FSHが結合すると, この受容体はLHに対する結合の親和性が高くなるという, 異種ホルモン間の一方的な共同作用が存在することが明らかにされたが, これは, FSHがLHの競合阻害物質となりにくくするための機構と考えられる. またさらに, ウシガエルをはじめとする両生類には肝臓にもFSHとLHに対する特異的受容体が存在するという驚くべき事実も明らかにされた. この受容体は膜のアデニルシクラーゼをホルモン結合によって活性化させるところから, 何か生理学的意義を持つと推察された. 最後に魚類であるが, 魚類では, FSHとLHの区別はないが, 自分自身の生殖線に作用する生殖線刺激ホルモンと共に, ウロハゼの精巣にのみ作用する生殖線刺激ホルモン様物質のあることが明らかにされた. これらの諸事実から, 魚類, 両生類では一種である受容体が, 爬虫類あたりでFSHとLHの2種の受容体に分化したと推察された.
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