配分額 *注記 |
5,200千円 (直接経費: 5,200千円)
1987年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1986年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1985年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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研究概要 |
作物の祖先種を明らかにすることは, 作物の育種や進化の研究にとってきわめて重要であるが, 重要農作物であるイネのDDゲノム種は未発見であり, コムギのBBゲノム種もまだ確定されていない. そこで, 組織培養とパラフルオロフェニルアラニン(PFP)処理を併用する手法によって染色体減数を起させ, イネでは野生稲Oryza alta(ゲノムCCDD)からDDゲノム植物を, コムギでは二粒系コムギTriticumdurum(ゲノムAABB)からBBゲノム植物を抽出するための実験を行った. 1.イネのDDゲノム植物の抽出:O.alta(2n=48)の染色体減数混数体(2n=22〜36)の幼穂を用い, PFPを添加した培地でカルスを誘導し, 278個のカルスを得た. そのカルスから植物体を分化させ(40個体), 緑色個体のほかにアルビノ, 班入りなどが出現したが, 染色体数については大部分の株が2n=36の安定した3倍体となり, 一部に2n=24の2倍性細胞を含むキメラ個体が2個体見出された. 3倍体はゲノムがCCDまたはCDDとみられ, これらからDDゲノム植物を抽出しようとして, さらにPFP添加培地で幼穂培養を行なっているが, 現在までのところまだ2倍体CDD植物またはCC植物)を獲得していない. 2.コムギのBBゲノム植物の抽出:T.durum(2n=28)を用い, 開花2〜3日前に除雄し袋掛けしたものに, 開花日に同一個体の花粉を交配し, 授粉6時間後にPFP500mg/l液を穎花内に注入した区で, 1個体の半数体(2n=14, ゲノムAB)を得た. このABゲノム植物からBゲノム植物を作出するために, 半数体の幼穂をPFPを含む培地で培養しカルスを誘導した. カルス細胞には半数体の2n=14よりも染色体の減数したもの(例えば, 2n=10など)も得られたが, これらの細胞から植物体はまだ再分化していない.
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