配分額 *注記 |
6,700千円 (直接経費: 6,700千円)
1987年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1986年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1985年度: 4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
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研究概要 |
日本の各地からイネもみ枯細菌病菌47株を分離収集し, これらを凍結真空乾燥することによって永久保存するとともに, 各種の実験に供試することによって下記の通り多くの研究成果が得られた. 1.菌株の病原性:培地上で長期間継代培養した菌株の中には病原性をそう失したものがみられた. 幼菌に対する病原性と籾に対する病原性とは密接に関連していたが, 各菌株のイネ品種に対する病原性の分化は明らかでない. 2.病原細菌の血清学的特異性:代表的な3菌株を家兎に注射することによって得られた抗血清はもみ枯細菌病菌以外の多種類の細菌と反応したが, 加熱抗原を用いた場合には高い反応特異性を示した. 3.病原細菌検出のための蛍光抗体法の確立:イネもみ枯細菌病菌の加熱抗原を家兎に注射することによって得られた抗血清の反応特異性を利用して, 病原細菌検出のための蛍光抗体法を確立した. 4.病原細菌検出のための選択培地の作成:特殊な栄養原, 抗かび性および抗グラム陽性菌性抗生物質, 色素などを組合わせることによってイネもみ枯細菌のみを特異的に生育させる選択培地を開発した. 5.抗菌物質産生性:大部分のイネもみ枯細菌病菌株が, 他の重要植物病原細菌に対して抗菌性を示す物質を産生する性質を持っていることを発見した. 6.プラスミドの検出:イネもみ枯細菌病菌は菌株によって異なる数種類のプラスミドを有することを発見した. また, 親株からNTG処理によって得られた形状の異なる変位株の中に, 異なるプラスミドを持つものが発見されたが, プラスミドの種類と細菌の形状との関係は未だ明らかでない. 7.生態:イネもみ枯細菌病菌は純水中で増殖し, 永年生存することを発見した. また, 稲体上では株元付近において高密度を保って生存していることも明らかになった.
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