研究概要 |
胞子形成の開始期に働く遺伝子はspoOA,B,E,F,H,J,K等が知られているが、変異効果が最もpleiotropicであることなどからOAが最も重要と考えられている。OB~,OE~,OF~等の胞子欠損変異を抑制して胞子形成を回復させるsof-1変異をしらべたところが、OA遺伝子のN末12番目のAsnがLysに変った点変異であることがわかった。すなわちsof型のOA遺伝子があればOB,OE,OFは無くともよく、OAの重要性が裏書きされた。 既にspoOA,B,F遺伝子はクローン化してあったので、それらの生産物の分子量などをしらべ、それぞれ29700,24000,14229と分った。またOFについては高コピーで胞子形成阻害を起すので、その機構を研究した。これらの遺伝子のシーケンシングの結果、興味あることには、OF生産物とOA生産物のN末側のアミノ酸配列に50%以上の高い相同性が見られた。更にこれらは大腸菌のompR,dye等とも相同性があり、何等かの外部刺激に対応して特殊なタンパク質を生産するための転写制御因子であるという可能性が高い。 胞子形成の開始にspoOAが鍵遺伝子であると考えられるのと、これと相同性をもつOFの重要性が考えられたので、これらの発現調節を知るために、大腸菌lacZとの融合遺伝子をつくった。即ちOA,OFのN末若干を残し、その上流部分のDNAにlacZのコード領域をin frameでつないだ。【Sbo^+】株の中では、対数増殖中もOA-lacZは若干発現し、増殖の終りT0から急速に活性化しT1辺でピークとなる。一方OF-lacZはそれより遅れてT1から発現が始まりT2以後OAの代りをつとめる、このパターンが胞子形成開始の主要経路であるが、OAの発現活性化にはOB,OE,OF,OHが必要であることが分った。
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