配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
1987年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1986年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1985年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
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研究概要 |
Saccharomyces cevevisiaeにおいて, クローン化遺伝子の発現調節を行うことを目的として, ホスファターゼ生産調節系とヒスチジン合成遺伝子HIS5の解析を行い, プロモーター検索ベクターの構築を試みた. ホスファターゼ系では, 培地中の代謝因子(無機リン酸;Pi)の有無に関する信号が, 5個の遺伝子が関係する調節系により酵素構造遺伝子まで伝達されている. そのうちPHO4タンパクは構造遺伝子の発現に必要な正因子である. PHO2タンパクも多くの構造遺伝子の発現に必須であり, 核に局在し構造遺伝子の5´上流部へ結合する. PHO80タンパクは負因子として正因子に干渉しその機能を阻害する. 負因子の生産にはPHO85遺伝子が関係し, 負因子活性はPHO81タンパクにより阻害される. PHO81遺伝子の発現には正因子を介してこの調節系が関係する. すなわち調節系全体は閉鎖環を形成し, Piは, おそらく, PHO81タンパクに働きかけることにより正因子活性を調節し, 構造遺伝子とPHO81遺伝子の発現調節を行う. 正負両因子は構成的に極く僅か生産され, 両因子が量的に均衡していることが正常な調節機能に必須である. PHO2タンパクも極く僅か生産されており, Pi濃度と自律的な発現抑制を受けている. HIS5遺伝子については, 塩基配列, 転写様式などについての総合的知見を確立し, さらに5個ある正因子認識配列について, 相互の間隔, 方向性, 欠失効果などについて研究し, タンパク質コード部に最も接近した1つが最重要であるとの知見を得た. これらを基に, プロモーター検索ベクターを構築し, プロモーター活性を有するDNA断片のクローニング, また上記各遺伝子のプロモーター部の塩基配列と活性の関係について研究し, 数々の有用な知見とDNA断片を得た. 例えば, 酵母宿主によるタンパク質の生産では, 目的のタンパク質構造遺伝子のコピー数を増やすよりも, 正因子量を上げることが生産性増大に効果的である.
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