研究概要 |
成果を以下の二つのテーマごとに分けてのべる. (1) 林分状態にあるヒノキ林木のCO_2ガス交換の測定 立木状態で, ヒノキ林木(11年生, 樹高3.6m, 枝下高直径4.6cm, 推定葉面積4.6m^8, 1986年現在)の光合成・呼吸速度を連続的に測定する装置を開発し, ほぼその目的をとげることができた. 地上部呼吸速度(r)は気温(T)と, r=54.7exp〔0.0935T〕(mgCO_2tree^<-1>hr^<-1>, °C)(但し1986年10月の結果)の関係があり, 温度係数は2.55であった. また同年同月の日総光合成量(Pg)と日積算照度(I)との間には, 1/Pg=A/I+B〔gCO_2・tree^<-1>d^<-1>, kl×hd^<-1>〕の関係があった. 但しA, Bは定数である. Pg〜I関係は各月ごと近似的に成立するので, Iを測定すれば, Pgを計算で求めることができる. しかし土壌が著しく乾燥する時は, Pg〜I関係がくずれることがあった. (2) リタフォール量のサイズ依存性 ヒノキ(25年生), カラマツ(15年生), スギ(15年生)の各人工林において大きさを異にする供試木をえらび, これらの地上部を寒冷紗のネツトで覆うことによって, 単木リター量を測定した. その結果, いずれの樹種においても, 単木リター量lを単木サイズ(胸高直径または生枝下高直径)xと間には, l=ax^b(a, bは樹種ごとに異なる定数)の関係があった. カラマツのlはヒノキのlの約50倍の値を, xが同じとき, 示した. スギの特定の一個体で, 附着枯死量(la)を4年間追跡し, 地上部重(w)と関係をみると, la=AW^Bが成立した. しかしこの関係は, 同一時間断面で大きさを異にする木のWとlaとの間で成立する関係la=A'W^Bとは, 型式は同じであるが, 全く分離した別の関係式となった. なお(1), (2)の成果と成長曲線の基礎モデルとの関係を考察した.
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