研究概要 |
この研究は, 森林の伐採・焼却後1年目及び2年目の初期における二次遷移, 土壌の理化学性の変化及び熱帯有用樹種の適応性について明らかにするためにおこなった. 1.森林調査をおこなった後, 1985年9月中旬に伐採をおこない, 11月下旬に焼却した. さらに, 1986年1月中旬に, 熱帯有用樹種(タイワンハンノキ,タイワンフウ,ジャイアントイピル・イピル,ユーカリ)を植栽した. 2.伐採前の林分構造では, 3cm以上の樹種の数は35種で, 優先種はイタジイであった. ha当りの本数及び材積は, それぞれ3,475本, 173m^3であった. 3.二次遷移は, アカメガシワ, ベニバナボロギクなど陽性の伐開地植生の侵入種が多く出現し, 伐採1年後に植被率60〜90%になった. 対照区は高木性樹種, 焼畑区では草木性植物が多い傾向にあった. 4.全構成種の生活型による配分割合では, 高木〜亜高木性樹種は伐採・焼却後2年後に天然林の既存種の比率が増加し, 低木性樹種は減少した. ツル性植物は侵入種が多く, 草木性植物は一時増加するが2年後に減少した. 5.土壌の理化学性の変化は, 全般的にみて伐採・焼却直後に測定値の変化が大きく, 経時的に漸減, または漸増し, 伐採・焼却前の値に類似してくる. また, その変化量は対照区よりも焼畑区において大きい傾向にあった. 6.伐採・焼却直後, 値が増加して経時的に漸減する要素は, 孔隙量, PH.炭素, C/N比, 置換性塩基類等で, 逆に, 減少した後漸増する要素には, 表層硬度, 透水性, 容積重, 置換酸度等であった. 7.熱帯有用樹種の適応性についてみると, 焼却後の初期の活着率は対照区よりも焼畑区においてよく, また, 平均樹高も対照区より焼畑区において高く, 焼却が活着率及び樹高生長量におよぼす影響の大きいことがわかった.
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