研究概要 |
トラクタ三点リンク・ヒッチ装置の制御機能をマイクロコンピュータのソフトウェアによって構成するシステム開発を目的とする本研究の最終年度に当たり, 試作したシステムの基本特性を明きらかにするため, 室内ベンチテストによりシステムパラメータを決定し, さらにロータリ耕うん装置を対象とする圃場実験を行なってシステムの実用性に対する評価を試みた. 1.システムの基本特性 ロータリ耕うん装置の位置制御を基本とする耕深, 負荷制御及び作業機の横方向水平角を対象とする姿勢角制御における油圧駆動信号(PWM法)の最適パラメータを決定するため, 過渡応答, 周波数応答実験を行い, 折点周波数0.25Hz(位置制御), 0.35Hz(姿勢角制御)で2次以上の高次遅れ系になることを確かめた. 2.圃場実験 耕深, 負荷, 姿勢角制御に関する個別の過渡応答実験から各制御機能及び複合制御におけるシステムの応答特性を求めた. (1)耕深制御 トラクタ本体のローリング, ピッチングを考慮して実耕深を演算する本方式は, 実用性を十分満足する応答性を示し, 選択できる作業機の種類が多く, 柔軟性の大きいシステム構成であることを確かめた. (2)負荷制御 エンジンの回転速度及びトップリンク力をフィードバック信号とする2種類の負荷制御機能は, それぞれ適応周波数領域が異なり, 前者は比較的低く, 後者は高い周波数領域の外乱に対して有効であり, いずれも制御機能の必要条件を満足する応答性のあることを確かめた. (3)姿勢角制御 作業機の姿勢角変動はトラクタ本体のローリングが主な原因であるが, ピッチングの影響を受けるため, 両者をフィードバック信号とするシステム構成が必要で, 耕深, 負荷制御機能と組み合わせた複合制御においても実用性を満足する応答を示した.
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