研究概要 |
急速凍結固定法は生理条件下での形態観察を可能としているものと考えられる. 我々はこの急速凍結置換固定法を酵素組織化学に応用して, 網膜細胞外節における視細胞の光励起過程に関与すると推定されるcGMP代謝酵素群guany ate cyclase,phosphodiestrase,GTPase,5 uucleotiodase等の検出を試み, これら酵素の活性が, guanylate cyclaseのように固定に弱い酵素も含めて, -80°C3日間の固定後も, 充分組織化学的検出が可能であった. 一方, これら酵素の微細構造上の局在を明確にするため, 主体膜のコントラストの増強を図るため, 観察に当たっては置換固定を行うアセトン中に, 0.5-4%クルタルアルデヒドと6%タニン酸を共存させる混合固定液を用い, -80°C3日間の置換固定の後, 4°Cにおいて12〜24時間, 或はさらに温度の高い室温(22°C)において12〜24時間の置換固定を追加した後酵素活性の検出を試み, phosphodlesterae活性局在の場が外節円板の生体膜特にその細胞質側であることを明示した. 次いで光励起過程における酵素活性の変動を証明すべく赤外線暗視野装置を導入して完全暗黒下での眼球摘出, 網膜剥離, および暗黒下での急速凍結を可能とする実験室の整備を行い, 現在も実験を繰り返しているところである. 現在まで得られた結果は, phosphodiesterase活性は明環境下では, 暗環境下よりも強く, 所々に反応最終産物の集塊を見る. 暗黒条件下において, 光刺激を5秒より30分まで変化させた網膜におけるphosnhodiesteraseの活性は, 短時間照射では円板生体膜間で活性の賦活にかなりの差が認められたが, 光照射の増加に伴って全ての円板膜が一様に活性を示すように増されることが明らかとなった.
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