研究概要 |
上記研究課題の研究計画について昭和61年度は主としてmRNAの注入によって発現するアミノ酸リセプターとそれに共役するイオンチャネルについての電気生理的解析,およびムスカリン性アセチルコリンリセプター等の細胞内反応過程におけるプロテインキナーゼの関与について解析した。 中枢神経系における興奮性アミノ酸受容体は薬理学的に3つのサブタイプ(NMDAタイプ,キスカル酸タイプ,カイニン酸タイプ)に分類されているが、われわれのグループはラット脳から抽出したmRNAをアフリカツメガエルの卵細胞に注入し、キスカル酸タイプとカイニン酸タイプの受容体が発現することを確認した。さらに、これまで明らかにされていなかった新しいタイプのグルタミン酸受容体の発現を見出した。この受容体はムスカリン性Ach受容体と共通の細胞内反応過程を介してClチャネルと共役していることが明らかとなった。 ムスカリン性Ach応答はホルボールエステルの一種TPAにより阻害され、阻害部位はリセプター蛋白,G蛋白,ホスホリパーゼCの全部または一部であること、さらにムスカリン性Ach応答はカルモジュリン依存性キナーゼを介してClチャネルと共役していることを明らかにした。 また小腸上皮細胞よりmRNAを抽出した後卵細胞に注入しNa,D-グルコース共輸送キャリアー蛋白を発現させることを試みたが、充分な量のmRNAを抽出できるには至らず、少量のため卵細胞における発現を確認するに至らなかった。 油圧四方向マイクロマニピュレータは卵細胞に微小電極を刺入する際の微細なコントロールのために使用した。
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