研究課題/領域番号 |
60480112
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経・筋肉生理学
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
森 茂美 旭川医大, 医学部, 教授 (80001907)
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研究分担者 |
熱田 裕司 旭川医科大学, 医学部, 助手 (90167924)
菅谷 公男 旭川医科大学, 医学部, 助手 (20179120)
太田 善博 旭川医科大学, 医学部, 助手 (00142802)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
6,200千円 (直接経費: 6,200千円)
1986年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1985年度: 5,100千円 (直接経費: 5,100千円)
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キーワード | 脳活動の賦活 / 筋緊張の抑制 / 解離現象 / 吻側橋網様核 / 巨大細胞性網様核 / Spike-triggered averaging / Carbachol / 化学刺激 |
研究概要 |
本研究では脳活動の賦活と筋緊張の抑制という解離現象に注目して、とくに筋緊張の抑制機構を重点的に解析した。またこの研究を進めるための新しい研究手法を確立することも目的とした。そして、(1)標織物質を用いた神経解剖学的手法、(2)微小電気刺激法と細胞内外の活動電位記録法(spike-triggeredaveraging法),(3)化学伝達物質を標的神経組織にfacal injectionする化学刺激法chemical stimulation techniqueなどを併用することにより、筋緊張の抑制現象を誘発する脳幹・脊髄の神経機構をほぼ解明できた。 神経解剖学的立場から脳幹の吻側橋網様核nucleus reticularis pontis olraisの細胞は、橋中心被蓋野の背側部を経由してその軸索を延髄の巨大細胞性網様核nucleus reticularis gigantocellularisに投射し、後者の神経核は下行性軸索を要髄しベルまで投射することが解明できた。Long acting cholinomimetic chemical agentであるcarbacholを一側の吻側橋網様核にfocal injeotionすると、その近傍にある神経細胞と巨大細胞性網様核の神経細胞はそれらの発射頻度を著しく増強する。そして除脳ネコでは発射頻度の増強とほぼ等しいtime courseで筋緊張の抑制現象が誘発できる。さらに巨大細胞性網様核から単一細胞の活動電位を細胞外から記録し、その活動電位をtriggerとして後肢筋支配アルファ運動細胞の細胞内模電位を平均加算すると、約6.5msの潜時で過分極電位が導出される。これらの成績を総合すると、吻側橋網様核,巨大細胞性網様核そして脊髄アルファ運動細胞をつなぐ脳幹・脊髄神経機構が、筋緊張の抑制機構として作動していることが十分に考えられる。 本研究の研究成果は、吻側橋網様核と巨大細胞性網様核との間に反響回路reverberatingが形成されている可能性を推定させるものであり、これは古くから考えられていた脳幹の作動様式について、それを解明するための重要な手がかりを与えたものと考えられる。
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