研究概要 |
視床下部及び視床下部外中枢温度感受性の概念に立脚して暑熱順化機序及び体温調節機序を究明する目的をもって本研究課題を遂行、昭和60年度には(1)視床下部破壊ウサギの体温調節能に関する研究,(2)暑熱順化ウサギの体温調節パターンの解析に関する試み,(3)ナキウサギ(pika)の体温調節に関する研究の三課題に亘って実験を遂行し所期の目的を達成した。昭和61年度には昭和61年度の実験の補完に努める外、さらに(4)x-rayやDCcurrentによる焼灼法に加えて新たにアルゴンレザー装置を用いて正確に視床下部のPO/AH領域を選択破壊して、慢性脳障害ウサギを作成し、体温調節,体重,食欲に関する生理学的に基本の生体活動の消長を検索し、体温調節における階層状調節機構の存在について立証した。昭和61年度にはヒトの発汗誘発による熱放射反応の解析によって暑熱順化の形成過程を詳細に解析したが、従来のミノール法以外にサーモグラフィを用いてて有色皮膚の発汗反応を解析する試みに跳戦、(5)更にカプセル法による発汗の連続測定を独自に開発し、加温負荷時の発汗潜時,発汗量の定量を可能とした点は本研究課題の進展を容易ならしめたと確信する。以上、動物およびヒト(熱帯地住民,寒冷地住民,日本人スポーツマン,日本人非スポーツマンの四群)による温度適応(暑熱および寒冷順化)体温調節機序,発熱・解熱機序の二年度に亘る研究成果(詳細は別添,研究報告書120ページ)によって本研究課題である「暑熱寒冷順化の形成過程における体温調節反応の解析」の所期の目的は達成したものと確信する。
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