研究課題/領域番号 |
60480134
|
研究種目 |
一般研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
医化学一般
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
米山 良昌 金沢大, 医学部, 教授 (10019515)
|
研究分担者 |
馬渡 一浩 金沢大学, 医療技術短期大学部, 講師 (50135050)
松川 茂 金沢大学, 医学部, 講師 (00092809)
|
研究期間 (年度) |
1985 – 1986
|
研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
|
配分額 *注記 |
6,100千円 (直接経費: 6,100千円)
1986年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
1985年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
|
キーワード | 血色素 / ヘモグロビン / 酸素親和性 / 協同作用 / 共鳴ラマン / 蛍光ラベル / エフェクター |
研究概要 |
血色素(Hb)の協同的酸素結合の立体化学的機構のあらましについては比較的よく実証されてきた。しかし、酸素親和性の調節機構やR→T四次構造変化のトリが一機構については、未だに論争があり、実験的にも証明されていないことが多い。そこで、我々は【α_1】【β_2】サブユニット界面にアミノ酸置換の起った異常Hbを用いた。これらの異常Hbはこの界面の相互作用の不完全さ故に、様々な程度の機能異常を示すことが期待される。従って、異常Hbの機能と構造の違いとを比較・検討することにより、酸素親和性の調節機構や四次構造変化の引き金となる構造因子が明らかになると考えられる。そこで、まず、正常及び異常Hbの酸素平衡曲線を種々の条件下で測定し、アロステリック・パラメータを決定した。次に、ヘム近傍の構造については共鳴ラマン分光法で、アロステリック・エフェクター結合部位の構造は蛍光ラベル・エフェクターを用いて検討し、以下の結果が得られた。 1)R状態の酸素解離定数はHbの種類によらず、ほぼ一定であったが、T状態の酸素解離定数(【K_T】)は異常Hbの種類により大きく異っていた。このことは、異常Hbの機能異常はデオキシ型T構造の多様性にあることを示唆している。 2)異常Hbのヘム鉄-近位ヒスチジン結合の伸縮振動に由来するラマン線のみが、測定条件や機能異常の程度に対応して変化した。しかも、この振動数変化は異常Hbの【K_T】の違いと相関した。 3)蛍光ラベル-有機リン酸や平衡ゲルロ過法の結果から予想に反して、異常Hbの有機リン酸(アロステリック・エフェクター)の結合部位の構造は正常Hbとよく似ていることがわかった。以上の結果から、異常Hbの機能異常の原因は、デオキシ型T構造の酸素親和性の多様性にあること、又、この酸素親和性を調節する構造因子の1つが、ヘム鉄と近位ヒスチジン間の結合の強さであることが、今回の研究より明らかとなった。
|