研究概要 |
1.肝内胆管付属腺の肝内分布:肝内胆管周囲結合織内に粘液腺と漿液腺から成る付属腺が分布し、胆管腔内と導管で結ばれている事実を発見し、更に精査すると、98%の正常ヒト肝では、胆管と区域胆管に付属腺があり、更に領域胆管にまで奥深く分布する肝が40%あることを発見した。そこで付属腺の機能を検索したところ、 2.付属腺の粘液産生:16種のレクチンと付属腺上皮内粘液との反応パターンから、付属腺の産生する粘液の糖鎖が主として、α-D-N-Acetyl-glucosamine,α&β-D-Galactose,α-L-Fucoseの4種を含むことが判明し、酸性粘液も中性粘液も等しく上記の糖鎖を含むことがわかった。 3.付属腺のSecretory Component合成とSCによるIgA,M,polymerの上皮内摂取,胆汁への分泌機構:付属腺上皮はSC,IgA,MとJ-chainを含有し、その免疫電顕像から上記の機構を付属腺が有すると思われた。肝内胆管の細菌感染疾患であり、かつ付属腺増殖疾患である肝内結石症では上記機構の著しい増強のある事実が見出され、IgA-Mediated Immune Defense Mechanismが付属腺の仂きとして存在することが確められた。 4.付属腺のEndocrineCharacter:正常肝では、2種の内分泌顆粒が一部肝の一部付属腺内に少量検出されたが、付属腺増殖疾患である肝内結石症では、付属腺のみならず胆管被覆上皮にも8種の内分泌顆粒が検出された。更に2例の肝内結石症では8種の内分泌細胞過形成に遭遇し、付属腺のEndocrine Characterが一段と明瞭化した。 5.合成樹脂による胆管鋳型標本作製と付属腺分布:さまざまな合成樹脂を胆管内に注入、肝内胆管の鋳型を作り、走査電顕で観察すると、付属腺導管様突出物が光顕像と同じく胆管の両翼に対をなして配列していた。現在パラフィン切片と鋳型標本のドッキングに工夫を加えている。
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