研究概要 |
1, 毛細血管腫に於いてSINGLE-CELL-TYPEで芽出する細胞の連続切片作成に成功した. その結果, 細胞内閉鎖空胞形成と, 細胞質内ビメンチン形成との関係が示唆された. 2, ヒト肉芽組織に於いてTWO-CELL-TYPEの血管芽出部分の連続切片作成に成功した. その結果, 細胞内大型ライソゾーム様小体の成形や, 中間径フィラメントの量が空胞形成を伴うSINGLE-CELL-TYPEの中間径フィラメントの量に比較して少ない事が明らかになり後者との間で, 血管新生に関してオルガネラレベルでの差が認められた. 一方内皮細胞と周細胞との間に存在する相互の細胞質突起による陥入は, 血管本幹部分のそれに比較して血管新生部分では, 細胞質突起の方向は逆転し, 内皮細胞より周細胞へ向い且つ浅く, 数も少ない. この事は, 連続切片及び血管周囲長の形態計測により裏づけられた. 細胞質突起部の内皮細胞, 及び周細胞膜間隙には免疫電顕法では抗ラミニン抗体, 抗フィブロネクチン抗体反応が周囲の細胞膜間隙に比較して陰性または弱陽性となり, 細胞突起陥入部が内皮細胞と周細胞とを結ぶ特殊環境部位である事が示唆された. 3, 免疫芽細胞性リンパ節炎(IBL)及び木村氏病に於ける血管新生とその周辺の細胞構成の変化を検索した. IBL病変では形質細胞, Tリンパ球(OKT4<8)が主体で, 木村氏病では肥満細胞及びT(OKT4^+), B(sIgD^+,M^+)のリンパ球が主体となっていた. 両病変とも細網細胞, DENDRITIC-RETICULUM-CELLの増加が目立った. 今後これらの細胞構成と血管新生との関係を追求して行く.
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