研究概要 |
マウスでの肺クララ細胞の分離は, 2年余にわたるさまざまな検討により, 基本的にその小ささのためにin vitro研究に必要な10^8レベルの細胞收量を達成することは困難との結論に達したので, 研究の主体はin vivo実験となった. 〓〓のグリセロールのクララ細胞への選択的作用の形態は, クララ細胞の代謝活性の変化を示唆するので, 標的を同じくする4NQO肺発癌に影響を与えるとの仮説の下に検索を進め, promoter作用は確認したが, 更にinitiation段階での4週間の投与により肺発癌促進が有意にもたらされることを確認した. この際, グリセロールは気道上皮の細胞動態に影響しないことを抗BrdU抗体の取込み率から明らかにし, 従来のpromoterと異なることを知った. グリセロールの作用を生化学的に検索した結果, 肺で盛んなりん脂質代謝の促進ことにtotal phospholipids,phosphatidylglycerol,phosphatidylethanolansine,diacylglycerideの増加を認め, また, 4NQOとの複合投与では, 4NQOの代謝(還元)活性の亢進がDTーdiaphorase以外の代謝系で亢進しているとの知見を得た. グリセロールが4HAQOの形成を高め発癌促進に働らいている可能性を示唆しているが, 現在DNAーadduct形成の面で検討を進めつつある. 肺クララ細胞の機能解明と細胞動態検索に便利なmarker enzymeの検討を目的に肺クララ細胞選択的障害物質であるbromobenrfne及びCCl_4投与による検索の結果, 7ーethoxycoumariveーOーdiethylaseとNADPHーcytochrome C reductaseの局在は低く, coumarine bydroxylaseの局在がマウスクララ細胞で高いことが明らかとなった. (発表準備中). 今後, 上述4NQOーDNAーadductによるクララ細胞での局在性ことにグリセロール投与時の量的変動の追求, 生化学的検討, および移植気管支管への細胞再構築法等による検索により, 本研究の更なる発展をはかる計画である.
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