研究課題/領域番号 |
60480173
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
ウイルス学
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研究機関 | 国立予防衛生研究所 |
研究代表者 |
杉浦 昭 國立予防衛生研究所, 麻疹ウイルス部, 部長 (80077172)
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研究分担者 |
佐藤 威 國立予防衛生研究所, 麻疹ウイルス部, 主任研究官
小船 富美夫 國立予防衛生研究所, 麻疹ウイルス部, 主任研究官 (80142644)
小浜 友昭 國立予防衛生研究所, 麻疹ウイルス部, 室長 (70150183)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1987
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研究課題ステータス |
完了 (1987年度)
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配分額 *注記 |
5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
1987年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1986年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1985年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
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キーワード | 麻疹ウイルス / F蛋白 / 細胞融合 / 感染防禦抗原 / HA蛋白 |
研究概要 |
麻疹の感染防禦に麻疹ウイルスF蛋白に対する抗体が不可欠であることが提唱されてから久しい. その後更にこの考えはパラミクソウイルス感染全体に敷〓された. しかしこの考えを裏ずける実験的根拠は,殊に麻疹については,意外に乏しい. のみらなず我々を含めこれまでに多数のF蛋白に対する特異的抗血清や單クローン抗体の作製が報告されているが,その大部分はウイルス中和活性を欠き感染防禦に役立っているとは考え難い. 少数の抗血清あるいは單クローン抗体は溶血阻止活性あるいはウイルス中和活性を示すがその力価は必ずしも高くはなくこれらの抗体が感染防禦の主力をなすとは考え難い. 他方麻疹罹患後の血清にはF蛋白に対すると考えられる抗体が含まれて居り強い溶血阻止およびウイルス中和活性を示したという報告があるが,この抗体が本当にF蛋白と反応するという証拠はない. 我々はこの研究を補完発活させてF蛋白に対する抗体の感染防禦並びに感染拡大阻止における意義を明らかにすることを試みた. 麻疹の予防に〓々使用されて居りかつ麻疹ウイルスに対し高い中和活性を有するヒト免疫グロブリン製剤をアセトン処理麻疹ウイルス感染細胞で繰返し吸收すると麻疹ウイルス血球凝集阻止抗体活性は全く檢出されなくなる. かかる血清を可溶化した麻疹ウイルスと反応させるとF蛋白と反応する抗体は残存しているがそれ以外のウイルス蛋白と反応する抗体は殆ど完全に除かれていることが見出された. この吸收後のグロブリン製剤は麻疹ウイルスの溶血を阻止しかつウイルス中和活性を示した. さらに既に感染している細胞から隣接する細胞へ細胞融合によってウイルスが伝播することを阻止した. 以上の成績からF蛋白に対する抗体には麻疹の感染を防禦しかつ感染の拡大を阻止する作用を有することが明らかになった.
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