研究概要 |
1.ヒトFcεRとIgE結合因子の分子、遺伝子的研究の為FcεR陽性ヒトBリンパ芽球様細胞株RPMI1788を免疫原としてマウス抗ヒトFcεRモノクロナル抗体H107を作製した。本抗体を用いた解析により高IgE血症ではFcεR陽性細胞が増加している事が明らかになった。 2.可溶下したFcεR陽性RPMI8866細胞からH107アフィニティカラムを用いて43KDのFcεRが精製され、一方培養上清からは25KDの可溶性FcεRを得た。両者はWesternブロットで共にH107と反応した。可溶性FcεRはIgEに結合する事、またin vitroでIgE抗体産生を増強する事からIgE結合因子であると考えられる。 3.可溶性FcεRを精製し気相アミノ酸シーケンサーによってそのN端の部分アミノ酸配列を明らかにした。この配列より合成DNAプローブを作製し、RPMI8866細胞のcDNAライブラリーをスクリーニングしてFcεR-cDNAを得た。このcDNAをCOS細胞に導入し、細胞表面にFcεRが、培養上清中に可溶性FcεR(IgE結合因子)が発現する事を確認した。従ってIgE結合因子は、FcεR細胞外ドメインがproteolysisにより可溶性蛋白として放出されたものと考えられる。 4.cDNAの解析によりFcεRはN末端を細胞内にC末端を細胞がいに持つ事、動物レクチンであるアシアロ糖蛋白レセプター等と高いホモロジーを示す事が明らかになった。 5.FcεRの発現はB細胞以外に単球系細胞、HTLV-I陽性T細胞好酸球系細胞にも見られ、IL-4,γIFN,TPA,IgE,H107抗体などでその発現が調節される事を見いだした。今後FcεRおよびIgE結合因子のIgE産生系における役割、細胞の増殖分化に及ぼす影響を解析する。6.NK細胞株でIL-2レセプタープロモーターの発現にcAMPやADFが関係する知見を得た。高親和性レセプター発現の機構を更に検討する。
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