配分額 *注記 |
5,900千円 (直接経費: 5,900千円)
1987年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1986年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1985年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
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研究概要 |
水中溶解物質を迅速に吸収蓄積しかつ高い感受性を示すアオウキクサを, 水環境汚染物質の除去回収に役立て, 更に水汚染指標生物として用いる為の総合的検討を行い, これを用いて汚染物質の生体系における動態を解明することが本研究の主要な目的である. 1.重金属のアオウキクサへの吸収: 重金属吸収はアオウキクサ生育環境要因により大きく影響を受け, かつ共存(培養液中に)する他種重金属の種類・濃度にも左右されることが示された. 他種重金属の吸収を抑制する傾向は銅において見られ, 一方マンガンは他種重金属吸収を全く妨げない金属であった. 又鉄の培養液中の有無は, 銅, カドミウム等の吸収に影響を与え(鉄の存在により吸収抑制)逆に鉄の吸収は銅の共存により著しく促進されることが示された. これらは, 重金属生体内動態研究の新たな知見である. 2.鉄のアオウキクサへの吸収と催花作用: 鉄吸収の増大がアオウキクサの催花の条件の一つであることが明らかとなった. 生体内でのその生理作用は未解明であるが花芽の成長と関わりがあるものと思われる. 他の重金属との関連で更に検討することによりアオウキクサの汚染指標としての利用に示唆が得られるものと考える. 3.アオウキクサにおける重金属耐性獲得: 増殖, 生育阻害をもたらさない低濃度のカドミウムを含む培養液で長期にわたり培養した場合, そして, 或る程度の増殖阻害を生じる濃度で短期間培養した場合 のいずれにおいても, アオウキクサのカドミウム及び銅に対する感受性の低下することが明らかとなった. 他の金属による前培養ではこの現象は見られず, カドミウム吸収により特異的に獲得される耐性と思われる. 今後, 生態系中のアオウキクサの重金属感受性を検討することにより, その水域の重金属汚染状態を推定し得る様な方策を検討してゆく.
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