研究分担者 |
板井 一好 岩手医科大学, 医学部, 助手 (10048572)
立身 政信 岩手医科大学, 医学部, 助教授 (70137496)
三田 光男 岩手医科大学, 医学部, 講師 (20157530)
中屋 重直 岩手医科大学, 医学部, 講師 (70048552)
桜井 四郎 岩手医科大学, 医学部, 講師 (80048529)
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配分額 *注記 |
5,800千円 (直接経費: 5,800千円)
1987年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1986年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1985年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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研究概要 |
生体におけるフッ素の出納に関して, 最新のフッ素超微量分析法(AlF分子吸光法)を用いて, 従来の方法では検出し難い低濃度の血清など生体試料中のフッ素を測定し, 各種のフッ化物(化学形別)の生体侵入経路別にみたフッ素の生体吸収・排泄を検討した. 1.経口摂取について;NaF, CaF_2およびAlF_3の3種類のフッ化物を経口摂取した場合, 人の消化管におけるフッ素の吸収率はNaF>CaF_2>AlF_3の順で, CaF_2はNaFの5〜7%しか吸収されず, AlF_3はほとんど吸収されなかった. フッ化物の消化管吸収の良否は化合物の水に対する溶解度以上に胃液(酸)への溶解度に影響されると考えられた. 宿主側の因子のうち, 胃内容物の有無について, 空腹時と満腹時におけるNaFの消化管吸収率を比較検討した結果, 空腹時は満腹時よりも吸収率がよく, 吸収時間も早かった. さらに, 数週間連日経口摂取してもフッ素の出納に有意を示さなかった. 2.経気道吸収について;NaFエーロゾルの経気道吸収率は, 家兎を用いた暴露吸入実験の結果23〜26%と推定された. またCaF_2エーロゾルの経気道吸収率は約2%と推定された. 一方, HFガスの経気道吸収率は, 刺激性に富むガスのため家兎の換気条件が乱れ, 10〜80%と大きく変動して一定の率を示しえなかった. また含フッ素麻酔剤による人の吸入麻酔の場合, フッ素の生体吸収が認められ, 麻酔剤の種類によって吸収率も異なった. 3.経皮・粘膜吸収について;モルモットによる各種のフッ化物水溶液の経皮吸収は, フッ化水素酸が最大で致命的全身障害を与え, フッ化水素アンモニウムも容易に吸収されるが, NaFには認められない. 酸性フッ化アンモン溶液による人の経皮吸収が大きいことを確認した事例も得られた. フッ素洗口時における口腔粘膜からの生体内吸収は, 消化管吸収ほど顕著ではないと示唆された.
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