研究概要 |
アルコール(Alc)代謝におけるマウス肝Pyrazole感受性LowKmADH(L-ADH)並びにPyrazole耐性H:ghKmADH(H-ADH)のそれぞれの役割を各種Alc投与量(1,3,5g/Kg体重)の急性投与下で経時的(1,4,12h)に検討した。<方法>各ADHisozymeの活性(EA)は既報の方法で、また各isozymeの酵素蛋白量(EP)は各特異抗体を用いてELlSA法でそれぞれ測定した。Alcの代謝速度は血中Alc消失速度(β:mgAlc/ml Blood/h)を測定した。<結果>L-ADHでは1および3g群でEAが増大L(1〜4h)その背景としてEPの増加が認められた。一方、5g群では逆にEAが全時間低下抑制され、このEAの低下はEPの減少によることが示された。尚、本酵素のEA並びにEPは投与Alc量が増すにつれ低下し(1,4h)、また増大のみられた1および3g群では経時的な減少がみられた。H-ADHではいずれの投与Alc量でもEAの増大がみられ、その背景として1および3g群ではEPの増加によることが示された(lh)。一方、5g群では本酵素のEPがL-ADHと同様低下していることから(lh)、この高濃度Alc投与群におけるH-ADHのEA増大は活性化によることが示唆され、このことは5g群における本酵素のmolar actirity(mUEA/mgEP)が高まっていること(1,4h)からも支持された。さらに本酵素の5g群におけるEPは1hで低下したものの経時的に増加し、12hではむしろ全群の中で最も高かった。H-ADHとL-ADHのEA比並びにEP比はいずれも全時間投与Alc量に比例して高まり、また各群とも経時的に高まった。β値に関しては4h以前で投与Alc量の増加につれβ値の低下がみられ、4h以降では3,5g両群ともにβ値の大きな低下がみられた。以上のことから4h以前にみられたβ値の投与Alcに対する容量依存的低下は主としてL-ADH活性の低下によると考えられた。一方、5g群での4h前後のβ値の大きな差にはH-ADHの活性化の寄与が示唆され、さらにEA比並びにEP比からH-ADHは投与Alc量の増加と供に、またAlc投与後の時間的経過と供にAlc代謝への寄与を高めることが推察された。
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