研究課題/領域番号 |
60480212
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器内科学
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
太田 康幸 愛媛大, 医学部, 教授 (40033055)
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研究分担者 |
堀池 典生 愛媛大学, 医学部, 助手 (90173624)
恩地 森一 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (10112260)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
1986年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1985年度: 5,200千円 (直接経費: 5,200千円)
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キーワード | B型肝炎ウイルスDNA / ステロイド / B型慢性肝炎 / HBV-DNAの肝細胞核内への組込み |
研究概要 |
副腎皮質ホルモン(PSL)短期離脱療法は、B型慢性肝炎において高率にHBe抗原より抗体へのseroconversionを起こし、有効な治療法とされている。しかし同療法には2つの問題点がある。第一点は、一過性ながらHBV増殖を引き起こす点であり、第二点は、B型肝炎ウイルス(HBV)-DNAの肝細胞DNAへのintegration rateを高め、発癌を促進する可能性が危惧される点である。以上の問題点を解決するために、HBe抗原陽性B型慢性肝炎12例に対して、PSL短期離脱療法を行い、血中、肝組織中HBV-DNAの量、存在様式の面より、検討を行なった。方法)血中HBe抗原・抗体はRIA法、HBV-DNAは【^3H】ラベルclcned HBV-DNA(大阪大学細胞工学センター松原謙一教授より供与)によるspot hybridization法にて定量的に測定した。肝組織内HBV-DNAは、Southern blot hybridization法およびin situ hybridization法で検索した。成績)血中HBV-DNAは、PSL投与開始後、3週目をピークに有意に(PC0.05)上昇、以後下降した。上昇の程度は、投与前値(65I2.9pg)の平均3.2倍(21.0±15.4pg)であった。肝組織内free HBV-DNAの量に関しては、in situ hybridization法で検索した。HBe抗原が陰性化した1例では、HBV-DNAも陰性化した。HBe抗原持続陽性例では、HBV-DNAが散在性にみられるspotty型より、HBV-DNAが1/2小葉程度にみられるlobular型に推移した。Lobular型は、DNA-P活性値が高い。HBV高度増殖例を多く認める。したがって肝組織内においても、HBV-DNAが増加していると思われた。次に、southern bat hybridization法による肝組織内HBV-DNAの存在様式に関する検索であるが、2例で治療前後に行ない得た。1例は治療前後とも、free integrated(random)HBV-DNA(+)であり、変化を認めなかった。1例は治療前後とも、free HBV-DNAのみ陽性であった。PSL療法後でのみ検索し得た2例では、integrationを認めなかった。結論)PSI治療はHBVを一過性に増殖させるが、肝細胞DNAへのintegrationは促進せず、発癌の危険性は少ないと思われた。
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