研究概要 |
表面コイル【^(31)P】-NMR法を、ラットin vivo肝あるいは摘出灌流肝に適用し、種々条件下での肝エネルギー代謝の研究を行なった。NMR分析装置としてJEOL SCM-200(磁場強度:4.7tesla【^(31)P】-共鳴周波数:80.75MHz)を使用し、試料装着用専用プローブには、ボーア径7cmで、表面コイル(11cmφ、6回巻)を装備したもの(NM-G27 TSPW、JEOL)を用いた。ラットin vivo肝の実験系では、四塩化炭素(【ccl_4】)腹腔内投与後の脂肪蓄積の増加を【^1H】-NMRスペクトルで、またATP等のリン酸化合物の変化を【^(31)P】-NMRスペクトルで経時的に観察し、ATP低下に先行して早期より脂肪が増加することを見いだした。ラット灌流肝の実験系では、【ccl_4】障害肝でATPレベルが正常肝に比し有意に低下しており、虚血・再酸素化の実験からミトコンドリアの機能障害が推測された。さらに、【ccl_4】障害肝に対するglucagonやinsulin投与の実験から生常肝には障害とならないようなglucagonの量でも、障害肝には悪影響を与える場合のあることがわかった。また、虚血肝エネルギー代謝に対するタウリンの効果として、タウリンが虚血に判う肝ATPの低下を抑制し、その回復を促進することを見いだした。最近では、胆汁酸移送や胆汁分泌動態と肝エネルギー代謝の関連について検討を行っている。一方、臓器反射スペクトルを測定できる生体分光装置(MCPD-100,UNION)を用いて、灌流肝におけるミトコンドリア色素(チトクロームb,cc,【aa_3】)の酸化還元状態が判定できた。また、ラットin vivo肝局所のICG動態を検討したが、第1相(血管相),第2相(実質相),第3相(排泄相)で構成された。各相間の変曲点は、胆管結紮,門脈結紮,【ccl_4】肝障害などで変化が認められ、肝病態の把握に有用と考えられた。
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