研究課題/領域番号 |
60480224
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経内科学
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研究機関 | (財)東京都老人総合研究所 |
研究代表者 |
井原 康夫 老人総研, その他, その他 (60114386)
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研究分担者 |
関 俊子 都老研, 臨床第2生理, 研究助手
三浦 玲子 都老研, 臨床第2生理, 研究助手
小河原 緑 都老研, 臨床第2生理, 研究助手
SEKI Toshiko Assistant
MIURA Reiko Assistant
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
1986年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1985年度: 5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
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キーワード | アルツハイマー病 / paired helical filaments / タウ蛋白 / リン酸化 |
研究概要 |
アルツハイマー病脳の神経細胞内に進行性に蓄積するpaired helical filaments(PHF)は種々の界面活性剤,変性剤に不溶である。この不溶性の性質を利用することによってはじめてPHFの高度な精製が可能となり、PHFに対する特異抗体の調製もできた。しかしこの不溶性のためPHF構成成分のゲル上での同定は出来なかった。そこで抗PHFと反応する可溶性ポリペプチド(PHFの前駆体と考えられる)を探索することとした。その結果、ヒト胎児脳ホモジェネート中に抗PHFと強く反応する分子量約5万のポリペプチドが存在することを発見した。その後の検討でこれは胎児型のtauと同定された。また成人脳から成人型のtauを部分精製すると確かに抗PHFと反応することが確かめられた。したがって抗PHFはtauと反応する。次いで抗PHF内の抗tau抗体の特性を分析した。その結果この抗tau抗体は次の2群から成っていることがわかった。第1はリン酸化および脱リン酸化された双方のtauと反応する群(おそらくはtauの一次構造を認識している)と第2はリン酸化されたtauとのみ反応する群(おそらくリン酸化されたtauの特殊なコンフォメーションを認識している)である。一般にあるタンパク質抗原を免疫するとsequence-dependent抗体とconformation-dependent抗体が生じることが知られている。これから、リン酸化されたtauがPHFの抗原決定基であると考えるのが妥当であろう。以上は免疫化学的同定法である。もっと直接的に成分を同定するために新しい方法を開発した。PHFを高濃度のギ酸で処理し、lysylendopeptidaseで分解する。生じたPHFペプチドを逆相系HPLCで分離する。ヒトtauと全く同様に処理する。HPLC上同一保持時間の画分に含まれるポリペプチドの部分一次構造を決定した。その結果現在までに2つのペプチドがPHFとtauによって共有されていることが判明した。したがってPHF内にtauが存在することは確実である。
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