配分額 *注記 |
6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
1987年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1986年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1985年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
|
研究概要 |
我々は糖原病1b型の病院が肝ミクロゾーム膜のグルコースー6-燐酸(G6P)輸送系, 即ちGLPトランスロケースの欠損にあることを明らかにした. 従来, G6Pトランスロケースの測定法は開腹生検肝の無傷ミクロゾームおよび破壊処理ミクロゾームのG6Pホスフォハイドロラーゼ活性を比較する方法でなされていた. 今回,本研究において, 膜フィルターをもちいて^<14>C-G6Pのミクロゾームへの取り込み率を見ることによって, G6Pトランスロケース活性を直接測定する方法を開発した. この方法でみると, 対照肝ミクロゾームのG6Pトランスロケース活性は4.5nmol/mg/5minであり, 一方患者肝ミクロゾームでの活性はほとんど0であった. 糖原病1型の臨床症状を示す患者の酵素診断には66Pase活性, G6P translocase活性それにphosphate translocase活性を測定しなければならない. 更に, translocase活性を性格にするためにはM6Paseのlatencyを基にして, 補正が必要である. 我々はこれらの酵素すべてを針生検肝(僅か15mg)で測定する方法を開発した. この方法を用いて, 1b型患者4例を検討した. 臨床的に重症型を示す3例の乳児のG6P translocase活性は全く検出されず, 完全欠損と考えられた. 一方, 軽症型の成人例では残存活性が認められ, 部分欠損と考えられる. 残存活性のkineticsを調べた結果, G6Pに対するKmは正常の16倍高値を示し, 酵素の質的異常に基ずくことを示唆した. 1b型の特徴的所見とされる好中球機能異常を来す機序について生化学的に検討し, G6P translocaseの完全欠損である重症型では白血病機能異常をきたすが, 部分欠損である軽症型では機能異常はないことを明らかにした. このことはG6P translocaseが好中球にも存在し,機能している可能性を示唆するものである.
|