研究概要 |
組織線維化不全を来たす遺伝性結合織疾患ではコラーゲンやプロテオグリカンの分子異常を来たすが, この分子異常は蛋白分子を構成するアミノ酸配列におけるアミノ酸の置換に由来することや, 蛋白合成にあづかる遺伝子の欠損に由来することが判明した. エーラス・ダンロス症候群の亜型でコラーゲンを構成するα_1, α_2鎖のcDNAを用いた解析により, α_2鎖合成に関与するDNAからmRNAの転写レベルでの異常が存在することが判明した. コラーゲン分子の異常を調べるためにはこれを構成するα_1, α_2鎖を単離し, ペプチドレベルで解析することが必要であるが, これまでの単離法(CM-セルローズイオン交換)では回収量, 時間的にも問題があったが, C18を用いた逆層HPLCで短時間のうちにはほヾ90%以上の回収があり, これによって患者培養細胞が合成するコラーゲンのミクロヘテロゲニティーをCNBrペプチドを得, 等電点電気泳動, SDS電気泳動により異常ペプチドを検出出来るようになった. コラーゲン線維と親和性を有するデルマタン硫酸プロテオグリカンには数種類間質性組織に存在すること, 臓器によっては加令変化によっても分子種が変化することを見い出した. 又, エーラス・ダンロス症候群を示す1例にデルマタン硫酸プロテオグリカンを欠損することを見い出した. この欠損原因を検討するため, 皮膚に主成分として見られるデルマタン硫酸プロテオグリカンのcDNAを得, これを用いて発現機構を検討した. このため先ず抗体価の高い血清を作製し, 培養細胞(モルモット皮膚線維芽細胞が良好な系であることを発見)からmRNAを得, 現在cDNAクローニング施行中である.
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