配分額 *注記 |
5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
1987年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1986年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1985年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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研究概要 |
陽子線によるがん治療の成功の可否は, その高線量域をいかにがん病巣に選択的に集中しうるかに依存する. 本研究は深部臓器がんに対して最適線量分布を形成する正確な陽子線治療計画を確立することである. 本研究では, その成果を適用すべき筑波大学粒子線医科学センターの陽子線にはいくつかの特徴があるので, これらを配慮した特色ある治療計画システムを開発した. すなわち, がん病巣を含むCT画像の各スライスごとにターゲットに高線量域を一致させる線量分布を形成させるように, 入射エネルギー, プラッグ・ピーク拡大幅およびボーラス形状を算定する治療計画システムを考案した. また所要の陽子線ブラッグ曲線を算定するために, 実際の照射位置までの散乱・減弱補正を含む理論計算法を導いた. このシステムにより, 各スライスにつき上下左右の陽子線4門照射を行えば, 満足すべき線量分布を形成しうることを確認し, よって今後の陽子線治療専門施設の設計においても, 技術的に困難な回転照射ガントリーは実用上不必要と結論した. さらに, 多層スライス上に作成した治療計画を一括して記録し, 3次元的に表示するシステムを完成した. これによれば, 体輪郭, 病巣, 各臓器が立体的に記録・表示されて,その上に10%ごとの等線量分布およびボーラスが合成表示される. よって作成した治療計画のチェック, 最適化が容易になった. 病巣への選択的照射精度を高めるために, 肺, 肝などの病巣の呼吸性移動を検知して, ある一定位置においてのみ照射を行う制御システムを開発した. 呼吸移動を行う肺がんファントムを試作して, 本システムに接続し, その信号をリアニックに入力して, リニシックグラフィにて所要性能を満足する動作を確認した. さらに陽子線照射制御システムに接続して, 呼気状態での治療計画にもとづいて, その位相に同調して陽子線が間欠的に照射されることを確かめた.
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