研究概要 |
抗精神病薬のうち、わが国で主に用いられているにもかかわらず、薬理学的データの欠けているもの(レボメプロマジン,パーフェナジン,プロペリシアジン,クロカプラミン,カルピプラミン,ゾテピン,チミペロン,オキシペルチン,YM-09151,ブロムペリドール,スルピリドなど)、受容体に対する作用が充分に研究されていない抗うつ薬(クロミプラミン,ロフェプラミン,アミトリプチリン,イミプラミン,デジプラミン,ノルトリプチリン,アモキサピン,マプロチリン,ミアンセリンなど)あるいは抗パーキンソン薬(トリヘキシフェニディル,プロメサジン,アマンタジン,ビペリデン,ピロヘプチン,プロフェナミンなど)について、ヒト脳から調製した膜標品を用い、各種神経伝達物質受容体に対する阻害効果を調べた。用いた脳部位と放射性リガンドは、ドーパミン【D_2】受容体は被殻と【^3H】-スピペロン,アドレナリン【α_1】受容体は大脳皮質と【^3H】-WB4101,アドレナリン【α_2】受容体は大脳皮質と【^3H】-イダゾキサン,ムスカリン性アセチルコリン受容体は大脳皮質と【^3H】-キヌクリジニルベンジル酸,セロトニン【S_2】受容体は大脳皮質と【^3H】-スピペロンである。【D_2】受容体阻害作用はブチロフェノン系薬物が強く、フェノチアジン系薬物がこれに次ぐ。抗うつ薬でも抗精神病薬と同等の阻害作用を示すものが認められた。【α_1】阻害作用は一般にフェノチアジン系薬物で強く、ブチロフェノン系薬物で弱い。また【α_2】阻害作用はミアンセリンが他の向精神薬に比しかなり強い効果を示した。ムスカリン性アセチルコリン受容体阻害作用の最も強いのは抗パーキンソン薬であり、抗うつ薬もかなり強く、抗精神病薬がこれに次いだ。抗精神病薬の中ではフェノチアジン系薬物の方がブチロフェノン系薬物より強い阻害作用を有していた。抗うつ薬の中では非三環系薬物が弱かった。【S_2】受容体阻害作用はミアンセリン,チミペロンが強いことが分かった。
|