配分額 *注記 |
6,100千円 (直接経費: 6,100千円)
1987年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1986年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1985年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
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研究概要 |
昭和62年度の研究計画は, 動物実験的なものと臨床的内容とに大別され, 以下の成果が得られた. 1.動物実験的検討:(1)In vivoに関する研究;STZ糖尿病ラットを72%高果糖食あるいは固型食,一部にはAR阻害剤(ONOー2235)を添加した餌で1ヶ月間飼育し, 実験終了時に網膜電図(ERG)を測り, 網膜内メタボライトを測定した. その結果, ERGの頂点潜時は正常<STZ糖尿病<高果糖餌飼育STZ糖尿病の順で遅延した. しかし, AR阻害剤投与群では頂点潜時がほぼ正常ラット群の値にまで回復した. これらERGの変化は, 網膜内メタボライトの変化によく一致し, 糖尿病状態でsorbitol,glucoseの高値,myoーinositolの減少が認められたが, AR阻害剤の投与によってsorbitol低値, myoーinositol増となりほぼ正常ラットの網膜内メタボライトレベルとなった. (2)In vitroに関する研究;家兎動脈中膜平滑筋細胞の培養実験で, 2ー〔^3H〕ーmyoーinositolの取り込みをglucose,ouabainは阻害したが, AR阻害剤(ONOー2235)はmyoーinositolの取り込みを正常状態に戻した. 尚, insulin,epinephrineはmyoーinositol取り込みの影響に与えなかった. 2.臨床的検討:三大合併症の網膜症,腎症,神経障害に対するAR阻害剤(ONOー2235)の長期投与(24ヶ月)の成績は以下の通りである. (1)網膜症:単純性網膜症に限定すれば,検眼的,螢光眼底造影いずれも6,12ヶ月に比べて改善著しく, 増悪が少でERGの改善も著であった. これらの改善は血糖コントロール状況, 糖尿病羅病期間, 網膜症の羅病期間とは特に関係なく観察された. (2)神経障害:24ヶ月の成績は12ヶ月に比べて, 自・他覚症状の改善が特に良くなった訳でなく, 12ヶ月で認めた改善を維持した. (3)腎症:我々が指標として尿中β_2ーミクログロブリン,NAGあるいはアルブミンに対し, AR阻害剤が効果を示したとはいえず, 対象選択の問題と考えられた.
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