研究概要 |
1)サイロキシン結合グロブリン(TBG)のcDNAのクローニングとその構造解析:λgt11に組みこまれたヒト肝cDNAライブラリーを抗TBG抗体を用いてスクリーニングし, TBGcDNAクローンを単離した. そのcDNAインサートの塩基配列を決定することによりTBGが395個のアミノ酸からなり, 糖鎖が付加され得るアスパラギン残基が5つ存在することが推定された. 2)TBGゲノム遺伝子のクローニングとその構造解析:正常人の末梢白血球よりDNAを抽出 ゲノムライブラリーを製作 TBGcDNAをプローベとしてこれをスクリーニングし, TBG遺伝子をクローン化し, その構造を解析した. この結果TBG遺伝子が約5Kbpで4つのエキソンからなることを明らかにした. 3)TBG完全欠損症におけるTBG遺伝子の解析:6家系のTBG完全欠損症のゲノムTBG遺伝子の制限酵素断片の多形性を分析し, この疾患の成因として, 大きな欠損, 挿入, 置換などが無いことを明らかにした. 4)TBG増多症におけるTBG遺伝子の増幅:1家系のTBG増多症を対象として, 制限酵素断片の多形成及び遺伝子のコピー数を検討した. この結果, 対象とした家系のTBG増加の原因として, 遺伝子の増幅を示唆する結果を得た. 5)異常TBG症(TBG-Gary)のTBG遺伝子の解析:甲状腺ホルモン結合能を殆ど示さず, 等電点電気泳動にて正常より陽極側に泳動される異常TBGを有する患者のTBG遺伝子をクローニングし, その構造を解析した. その結果この異常が単一塩基の突然変異により96番目のアミノ酸がイソロイシンよりアスパラギンに変化することにより起こることが推定さた.
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