配分額 *注記 |
6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
1987年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1986年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1985年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
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研究概要 |
造血前駆細胞に対する自己抗体の存在を疾患を確認するために血球減少のある症例で補体依存性の細胞障害(CDC)とクローン培養法を併用した. その結果, 純赤芽球癆の一部の症例では赤血球系前駆細胞であるCFU-E, BFU-Eに対する自己抗体のある症例を確認した. 血小板に対する自己抗体が存在する特発性血小板減少性紫斑病(ITP)でも巨核球系前駆細胞に対する自己抗体が全症例の血清中に証明された. そこでITP患者の治療のために摘脾した脾細胞とヒト多発性骨髄腫の8-azaguanine(8-AZ)耐性株HMy2を融合させ, 自己抗体を産生するハイブリドーマの作製を試みたがクローニングの段階でその特異性が消失し, 成功していない. 一方, ヒト造血前駆細胞の特徴を持つ株細胞K562に対するマウスモノクロナール抗体(MoAb)をマウスの8-Az耐性株Sp210とK562で免疫したマウス脾細胞を融合し, 10種のMoAbを得た. その一つであるRTF8×(IgM)はヒト赤芽球系腫瘍細胞株とのみ反応し, 臨床症例では赤白血病・慢性骨髄性白血球の慢性期と赤芽球糸急性転化, 真性多血症の全症例の骨髄細胞に反応した. 一方, RTF8XのCDCあるいは間接蛍光抗体法によるSortingとクローン培養を併用した結果, RTF8XはCFU-E, BFU-Eの表面には表現されず, 赤白血病等の赤芽球表面に表現されていた. 溶血性貧血あるいは正常の骨髄細胞のRTF8X陽性細胞をSortingするとその多くは赤芽球であり, 特に, 赤芽球の分裂像を多数含んでいた. これらの成績から, RTF8X対応抗原は赤芽球系の細胞分裂に関連して, その表面に現れる抗原と推測される. 以上より, RTF8Xは赤芽球系悪性腫瘍の診断と経過の観察に有用なMoAbである.
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