配分額 *注記 |
4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
1987年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1986年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1985年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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研究概要 |
乳斑組織は主として漿膜の提状隆起, あるいは漿状突起部に存在する微細な構造で個有の血管分布を受けている. 乳斑は太い毛細血管の集塊を中心に, これを取巻く特異な細胞集団よりなる. すなわち, 乳斑の漿〓面は通常の扁平な中皮と異った特異な細胞で覆われる. このものは立方型で著明に発達した細胞突起を持ち, 細胞間隙は疎である. このものは正常でも弱いながら貧食能を有しているが, 漿膜腔内に異物を注入するとその貧食能は一段と活溌となる. また細胞突起も著明となり, ついには基底膜より遊離して漿膜腔内で浮遊する貧食細胞となる. 同時にこれらの細胞間隙は一段と〓開し, 異物がこの細胞間隙に吸込まれる像が観察される. この細胞間隙は乳斑深部に向かう類洞に移行し, 類洞壁には多類の大食細胞が存在して異物を貧食する. この貧食作用を逃れた異物は乳斑深部の太い血管に〓行するリンパ管内に認めらるようになるが, 如何なる経路を介してリンパ管に入ったかを証明するには至っていない. 乳斑内類洞に接して多数のリンパ球, B細胞と思われる, が存在しており, 乳斑深部に向かって形質細胞への分化が認められる. このような漿膜腔内異物除去ならびに処理作用に加えて乳斑には流血中の異物と捕捉する作用が認められる. 乳斑における太い毛細血管の集塊形成, 毛細血管内皮基底膜の発達不良などがこの機序に関与しているものと考えられる. 乳斑組織は腫瘍細胞の定着の場ともなるもので, 漿膜腔に注入した黒色腫細胞は乳斑内類洞から周辺に向かって浸潤性に増殖した. さらに動物実験では腫瘍ウイルスに感染の場を提供することも明らかとなった.
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