研究分担者 |
元島 幸一 長崎大学, 医学部, 助手 (00182171)
酒井 秀則 長崎大学, 医学部付属病院, 医員
SAKAI Hidenori Nagasaki University, School of Medicine
小原 則博 長崎大学, 医学部付属病院, 医員
山口 孝 長崎大学, 医学部, 講師 (10133175)
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配分額 *注記 |
4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
1987年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1986年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1985年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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研究概要 |
過去3年間にわたる実験的膵移植の成果と, これを踏まえて臨床応用を施行した膵の自家移植例を中心に本法施行上の各種の問題点について報告する. 1.膵の移植に関する実験的研究:膵全摘犬を用いた膵のラ島自家移植に関する実験的研究により, 正常膵を用いると移植膵は長期にわたり血糖の調節能を発揮し得るが, 高度の繊維化膵ではラ島の回収率は低率であり, 血糖の正常化は困難であることが判明した. しかしながら同様の実験を膵の亜全摘犬を用いて施行すると, 残存膵は著明なラ島の再生肥大を呈することを確認した. 一方膵の部分自家移植に関する検討により, 古来問題点の多い膵管処理法と移植膵の静脈血栓防止法については, 膵空腸吻合や膵膀胱吻合をなし且つ膵脾の合併移植法やA-V Shunt法の採用によりこれらの問題点はほぼ解決可能となった. この結果を踏まえて, 同種膵の部分移植を行い, 拒絶反応の早期診断には尿中のアミラーゼや血中の過酸化脂質, そしてIa抗原陽性リンパ球の測定が, 有用である結果を得た. 2.膵広範切除兼切除膵の自家移植に関する臨床的研究:これまでに臨床例9例に対して切除膵の自家移植を施行してきた. その膵移植の方法は, 所謂ラ島移植7例, 膵の部分移植2例で, 疾患別内訳は慢性膵炎4例, 膵頭領域癌5例である. ラ島移植の7例に関してその耐糖能を術前と比較検討すると不変2例そして低下5例であった. 臨床的にはラ島移植による移植膵の回収率は5%程度の低いものと推定され, 今後は線維化膵よりの回収率の良好なラ島分離法を開発する必要性が示唆された. 一方膵部分自家移植例では, 1例を移植膵の静脈血栓併発により移植後早期に摘出を余儀なくされたが, 残る1例では膵脾合併移植法の採用により, 移植膵は良好な生着をみている. 膵部分移植の手技的な問題点として, 移植膵の静脈処理法の重要性が改めて確認される結果となった.
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