研究分担者 |
愛甲 孝 鹿児島大学, 医学部付属病院, 講師 (60117471)
野村 秀洋 鹿児島大学, 医学部, 講師 (00107898)
高尾 尊身 鹿児島大学, 医学部付属病院, 助手 (80171411)
村松 喬 鹿児島大学, 医学部, 教授 (00030891)
島津 久明 鹿児島大学, 医学部, 教授 (30010242)
|
配分額 *注記 |
6,200千円 (直接経費: 6,200千円)
1987年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1986年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1985年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
|
研究概要 |
本研究では, ヌードマウスを用いたヒト消化器癌in vivo転移モデルの確立と, 癌細胞膜糖蛋白と転移との関連性について検索し, 以下の知見が得られた. 1)ヌードマウス移植株として樹立できたヒト消化器癌症例は78/167例(46.7%)であった. これらの中で同一症例から原発巣と転移巣由来の移植株が樹立できた症例は17例であった. また, 皮下移植で転移を発現した移植株はわずかに6例であったが, 恒常的に肺転移発現を示す胃癌株が樹立できた. 2)ヒト大腸癌移植株を用いた検討で, 原発巣と転移巣では生物学的特性(増殖速度, CEA産生能, 抗癌剤感受性など)の相違があることが強く示唆された. 3)二次元電気泳動とレクチン染色の結果, 各種癌および正常組織には特有な染色パターンのあることが判明した. また, 癌では正常組織と比較して, 特異的あるいは異常増加または欠如していると考えられる染色スポットが認められた. 一方, 原発巣と転移巣の比較では数種のスポットで濃淡あるいは増減が見られたが, 特徴的なスポットは認められなかった. 4)しかしながら, 自然肺転移を発現するヒト胃癌株の細胞膜成分のSDS-P, AGE後のRCA-1およびWGAレクチン染色では, 他の移植癌では検出されないか, 極淡く認められるバンドが特徴的に認められた. 5)これらは, RCA-1とWGAのlectin affinity chromatographyで抽出した糖蛋白のSDS-PAGEとクーマジー蛋白染色の結果, RCA-1では分子量約11万8千, 9万, 7万, 2万2千の部位に, WGAでは約6万9千, 2万5千の部位に特徴的な染色バンドとして認められた. 6)RCA-1 lectin affinity chromatographyで得られた試料を免疫源として, モノクロナール抗体の作製を試み, CEAをはじめ既存の抗体とは異なった抗体(MG-1, IgM(λ))を得た. MG-1は, 正常組織とは反応せず, 主に消化器癌との反応が見られているが, 転移との関連性は検索中である.
|